マイニングで利益が出た時には、その利益に対して税金がかかる場合があります。これには条件があって、たとえば本業のあるサラリーマンが副業でマイニングをして、マイニングの利益が20万円を超えると税金(所得税)が発生します。
そして20万円を超えた場合には、とても面倒ですが、2~3月の時期に自分で確定申告をしなければなりません。申告を怠ると追徴課税が発生し、払う税金が膨らんでいくので、確定申告は無視できません。
今回は副業でマイニングをした場合の税金の発生条件や、マイニングで計上できる経費、税金の計算方法などについて詳しく解説いたします。
- マイニングで得た収入に税金がかかる条件
- 所得税・住民税が課税対象となるタイミング
- マイニングで得た利益に対する税金の計算方法
- マイニングで計上できる経費
- マイニングの利益が20万円以上なら「確定申告」が必要
- マイニングの利益が1円~20万円以下なら「住民税」の申告が必要
- まとめ
マイニングで得た収入に税金がかかる条件
マイニングで収入があった場合、支払い義務の可能性が生じる税金は「所得税」と「住民税」です。所得税に関しては、利益(収入-経費)が副業の方で20万円以上になった場合に支払い義務が発生します。住民税に関しては、利益が1円でもあれば課税の対象になります。
所得税がかかる条件
マイニングをする上で、パソコンの購入費用がかかったり、電気代がかかってきます。これは経費として計上することができ、マイニングの収入から経費を差し引いた額(利益)が20万円を超えると所得税を支払う必要が出てきます(経費については詳しく後述)。
本業がサラリーマンで、お小遣い稼ぎとして副業でマイニングをして、年間50万円の収入を得ているとします。そこから経費が25万円かかったとすれば、手元に入ってくる金額が25万円ということになりますので、所得税が課税されます。そして確定申告を行う必要も出てきます。
住民税がかかる条件
住民税は所得に応じて決定されます。所得税とは仕組みが違い、マイニングの利益がたとえ1円でも課税の対象となります。
なお、マイニングの利益が20万円を超えると確定申告をする必要が出てきますが、反対に20万円以下では確定申告をする必要がありません。しかし、20万円以下でも住民税の申告を行う必要があります。これに関しては後述します。
所得税・住民税が課税対象となるタイミング
所得税や住民税の課税タイミングは、マイニングの報酬が確定した時点です。出金した時に課税の対象になると思いがちですが、そうではありません。
出金していなくても、1月1日〜12月31日に発生したマイニング報酬が課税の対象になります。このタイミングは間違いやすいので、しっかりと把握しておきましょう。
マイニングで得た利益に対する税金の計算方法
マイニングでの利益は、雑所得または事業所得に分類されます。基本的には雑所得に分類され、本業の所得額と合計した額に対して、所得税は5%~45%、住民税は約10%課税されます。
なお、雑所得の場合の損失は0になるので、マイニングで損失が出ても本業の所得(給与所得)に影響せず、税額が安くなることはありません。
マイニングの収入は「雑所得」または「事業所得」に分類
所得の区分には、利子所得、配当所得、不動産所得、給与所得、雑所得、事業所得など様々なものがあります。この中でマイニングを得た収入は、「雑所得」または「事業所得」に分類されます。
どちらに該当するかは状況によって変わってきますが、基本的には雑所得になると考えておきましょう。事業所得に該当する場合は、所得した通貨を事業決済するなど、一つの事業として本格的にマイニングをして、事業性が認められた場合に限ります。
所得税における税率
所得税は累進課税になり、利益が大きくなるほど税率が高くなります。最低の税率は5%、最高では45%になります。
課税される所得金額 |
税率 |
控除額 |
195万円以下 |
5% |
0円 |
195万円を超え 330万円以下 |
10% |
97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 |
20% |
427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 |
23% |
636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 |
33% |
1,536,000円 |
1,800万円を超え4,000万円以下 |
40% |
2,796,000円 |
4,000万円超 |
45% |
4,796,000円 |
マイニングで得た利益は雑所得、本業の所得は給与所得(を想定)になりますが、これらを合計し、そこから給与所得控除などを引いた額が上表の「課税される所得金額」です。
そして課税される所得金額に応じた税率が適応となり、税率に該当する控除額を引いた額が最終的な所得税額となります。かなり複雑なので、下に計算式を示します。
(マイニングでの利益+本業の所得-各種控除など)×税率-控除額=所得税額
副業の場合の雑所得には控除がありません。このことから、たとえば本業のみの課税される所得額が300万円で、マイニングの利益が25万円だとすると、課税される所得額の合計が325万円になるので、以下の計算式になります。
325万円×10%-97,500円=227,500円(所得税額)
もう一例を挙げると本業のみの課税される所得額が300万円で、マイニングの利益が40万円だとすると課税される所得額の合計が340万円なので、以下の計算式になります。
340万円×20%-427,500円=25,2500(所得税額)
住民税における税率
住民税はほぼ全国一律で、課税所得の約10%です。所得税と同様に、本業と副業を合算した所得に応じて税率が決定されます。マイニングでの利益が多くなればなるほど住民税は高くなります。
マイニングで計上できる経費
マイニングを行うにあたって様々な費用がかかってきます。たとえば電気代やパソコン代、通信費などです。このような費用はもちろんのこと、他にも様々な経費を計上できる場合があります。
費用にできる例としては以下が挙げられますが、経費に計上するためには領収書など、費用の証明が必要になるので、必ず残しておきましょう。
電気代
マイニングでは必ず電気代がかかります。どのくらいの電気代がかかったのかを証明できれば、その全てを経費にすることが可能です。しかし、自宅でマイニングをしている場合には、日常生活での電気代も含まれているので、その全てを経費にすることはできず、あくまでマイニングにかかった分だけです。
ただし、マイニングにかかった電気代を正確に計算することは難しいのが実情です。そのため、実測のW数や稼働時間、1時間あたりの電気代(市町村による)を推計したものを計算書にして残しておくようにしましょう。
パソコン代(機材代)
マイニングをしている多くの方がパソコンを使用しているかと思います。このパソコンの費用も経費として計上することが可能で、マイニングにのみ使用しているのであれば購入費の全額を経費にできます。ただし、購入した年のみになります。
通信費
通信費も経費に計上できますが、一般的にはWIFIを設置していると思うので、この場合にはマイニングだけでなく、日常生活でもWIFIを使用していることになります。そのため通信費の全額を経費にすることは難しいでしょう。
税務署の裁量になるので、一概にいくらが妥当なのか分かりませんが、多くても3割程度でしょう。マイニング用にサーバーを借りている場合には全額を経費にできます。
家賃
家賃も経費に計上できる場合があります。自宅は生活スペースになるので、家賃の全額を経費にすることはできず、経費にできるのは一部になります。
マイニングをする上で必要となるスペースは一畳くらいなので、経費にできる範囲は1〜3割程度です。ただし、税務署の裁量によるところが大きく、経費にできない場合もあります。
セミナー費用・教材
マイニング関連のセミナーの受講費やコンサル代、交通費、教材なども経費に含まれ、この場合は全額を経費に計上することが可能です。
マイニングの利益が20万円以上なら「確定申告」が必要
マイニングの利益が副業の方で20万円以上になった場合、確定申告が必要となります。確定申告の時期は2月中旬〜3月中旬で、必要書類を揃えてお住まいの地域にある税務署で申告を行います。
確定申告の必要書類
確定申告で必要となる書類は、申告書と領収書(経費)です。申告書はコチラでダウンロードできるほか、e-Taxを利用すればインターネット上で作成することもできます。
領収書に関しては、発行されたものや自分で作成したものを申請書と一緒に提出します。張り付ける用紙がありますので、そこに張り付けるか、枚数が多いようなら張り付けずホッチキスでまとめるなどして提出しても問題ありません。
マイニングの利益が1円~20万円以下なら「住民税」の申告が必要
住民税の申告は、マイニングの利益が1円でも出たら必要になります。20万円以下でも確定申告を行うことは可能で、確定申告をすれば住民税も一緒に申告されるので、この場合には別途で住民税の申告を行う必要はありません。なお、住民税の申告はお住まいの市町村役場になります。
住民税申告の必要書類
住民税の申告に必要となる書類は申告書のみです。申告書はお住まいの市町村のホームページでダウンロードできます。市町村によってはダウンロードページがない場合もあるので、その場合には役所で書いて提出するのが無難です。
まとめ
副業でマイニングをして利益が20万円以上あれば、所得税が発生し、確定申告を行う必要も出てきます。1円〜20万円以下では所得税は発生せず、確定申告を行う必要もありませんが、住民税が発生し、住民税の申告を行う必要が出てきます。
税金はかなり複雑ですが、国民の義務である以上、疎かにしてはなりません。脱税すると追徴課税で後々悩むことになります。
確定申告が初めての方は、申請書の記載ミスなどで送れるケースも想定されますし、最終日から1週間程度は込み合いますので、早めに行うようにしましょう。