TOEICの勉強をしていると、単語がなかなか暗記できなくて煩わしさを感じる人は多いのではないでしょうか。
しかし、TOEICで高得点をとるためには単語は必須ですし、TOEICのみならず英語を使う場面で単語が分からなければ、そもそも英語自体を使うことが難しくなります。
それほど単語は重要なものであるにも関わらず、暗記するのにかなり苦労して、途中で嫌になって投げ出してしまう人は多いはずです。
そこで今回は、暗記が苦手な人のために、TOEICの単語を効率的に覚える勉強法をご紹介したいと思います!
裏技的なものはありませんが、私が実践している方法で勉強すれば、単語が頭に入りやすくなって、素早く単語を暗記できるようになるはずです。
- TOEICにおけるパートごとの単語のレベル
- スコアごとに必要となる単語数
- 暗記に最適な時間とは?
- 知っておくべき忘却曲線
- そもそも暗記とは?
- TOEIC単語を効率的に覚える勉強法【基礎編】
- TOEIC単語を効率的に覚える勉強法【実践編】
- 単語を覚える1か月のスケジュール
- TOEICの単語を効率的に覚えるための勉強法まとめ
TOEICにおけるパートごとの単語のレベル
単語の勉強法をご紹介する前に、まずはTOEICにおけるパートごとの単語のレベルを知っておきましょう。
TOEICにはリスニングセクションとリーディングセクションの2つに分かれていて、それぞれPart1〜4(リスニング)、Part5〜7(リーディング)で、各100問ずつ出題されます。
リスニングセクションでは日常的で簡単な単語しか出ず、中学〜高校レベルの単語を知っていて、なおかつ耳で理解できれば十分です。
とはいえ、中学〜高校で習う範囲の英語を知らなければ問題が分からないので、TOEICを受験するなら最低限、中学〜高校の英語を理解しておく必要があります。
リーディングセクションにおいては、やや難解な単語が頻出します。中学〜高校レベルの単語でも読解力があれば解けますが、高得点をとるためには大学レベルの単語が必要です。
なお、リーディングセクションのみ、満点保持者でも知らない単語が出ることもあります。これに関しては勉強の必要はなく、前後の文などから読み取るようにします。
スコアごとに必要となる単語数
TOEICの満点は990点となりますが、だいたい目標とするのが400点、500点、600点、700点、800点、900点というように100点刻みだと思います。
各スコアでどの程度の単語数が必要かについては、あくまで目安ですが、体感としては以下のような感じになります。
- 400点・・・3,000〜4,000語
- 500点・・・4,000〜5,000語
- 600点・・・5,000〜6,000語
- 700点・・・6,000〜7,000語
- 800点・・・7,000〜8,000語
- 900点・・・9,000〜10,000語
かなり多いように感じますが、この単語数にはIやamといった基本的な単語も含まれているので、実際のところそこまで多いわけではありません。
ちなみに、中学卒業レベルで1,500語ほど、高校卒業レベルで3,000語ほどになりますので、単純に単語だけをみれば高校卒業で400点は取れるということになります。
TOEIC初心者の方は、まず600点を目指す形になりますので、中学・高校で習った単語にプラスして2,000語ほど覚える必要があります。
暗記に最適な時間とは?
ここからは少し勉強に関する情報について書いていきます。
まず、勉強というのは効率が非常に重要で、忙しい方やTOEICの受験日まで時間がない方は、いかに時間を有効に使い、いかに効率的に勉強するかがポイントになります。
効率的に勉強するためには「集中」することが不可欠で、たとえば10分集中して勉強するのと、1時間グダグダ勉強するのとでは、明らかに10分集中する方が勉強になります。
集中と時間帯というのは密接に関係していて、朝起きて夜寝るというサイクルができている人であれば、最も集中力が高まる時間帯が「早朝」です。
脳は朝起きてから2時間くらいの間が、最も集中して物事に取り組める時間帯(ゴールデンタイムと言われている)になりますので、この時間を煩わしい単語の暗記に使うのが個人的には最も効率的だと考えていて、実際に体感しています。
特に朝食をとった後の30分間が個人的には最も集中力が高いと感じます。時間は有限ですし、集中できるのならこのゴールデンタイムを使わない手はありませんよね。
単語の暗記に30分を使うのであれば、30分早く起きるようにしましょう。そして朝食をとった後に取り組んでみてください。
知っておくべき忘却曲線
集中できる時間帯に加えて、忘却曲線についても知っておく必要があります。
忘却曲線とは、脳が物事を覚えている期間を曲線で描いたもので、エビングハウスというドイツの心理学者が実験で導き出した結果です。
エビングハウスによると、人は覚えたことが2時間後に42%、1時間後に56%、1日後に74%も忘れてしまうそうです。
なぜ忘却曲線についてお話したのかというと、暗記を1回のみで終わらせて欲しくないから。1回暗記しただけではすぐに忘れてしまい、それでは勉強にはなりません。
記憶としてしっかりと頭に定着させるためには、日々の復習がとても大切なのです。必ず1回のみで終わらさずに何度も復習するようにしてください。
そもそも暗記とは?
続いて、どのくらいが「暗記」と言えるのかについてです。結論から言うと「1秒以内」に頭に出てくれば暗記できた!と考えましょう。
「え〜と…」と考えているうちには、その単語はまだ暗記できていません。
TOEICは時間との勝負でもありますし、日常的に英語を使うための試験なので、すぐに頭に出てくるまで単語を覚えるようにしましょう。
TOEIC単語を効率的に覚える勉強法【基礎編】
それではここから、TOEICの単語を効率的に覚える勉強法をご紹介します。
TOEICの単語をいかに効率的に覚えるか、これにはまず「近道をする」ということが一つのポイントになります。それでいて「しっかりと頭に定着させる」ようにします。
具体的には、「綴りを覚えない」「五感を使う」「自分で簡単な文章を作る」「多読・多聴する」、この4つのことを勉強に取り入れていきます。
綴りを覚えなくてもいい
TOEICで最も一般的なListening & Reading Testに関してですが、こちらの試験ではマーカー方式が採用されていて、4つの問いから適切なものを選ぶ形になります。
つまり綴りを問うような問題が出題されないわけです。エッセイなどWritingのテストであれば綴りを覚える必要がありますが、Listening & Reading Testであれば綴りを覚える必要はありません。
もちろん、今後英語を使用するのであれば追々綴りを習得しなければいけませんが、綴りを覚えようとすると、その分時間がかかってしまうので、Listening & Reading Testを受験するなら、近道として綴りを後回しにするのが得策です。
五感を使って覚える
おそらく多くの人が単語の文字(アルファベット)を見て暗記しようとしているのではないでしょうか。これでは目だけしか使っておらず、目だけでは暗記の効率が良くありません。
目だけでなく、耳で聞く、口に出す、というように五感を出来る限り使用することで、頭に定着しやすくなりますし、耳で聞くというのはリスニング対策にも繋がります。
まず目で見てある程度覚える→耳で聞いて発音を理解する→その発音を真似して口に出す、というステップを踏むように勉強しましょう。
自分で簡単な文章を作る
上記のステップに加えて、覚えた単語を使用して自分で簡単な文章を1つ作ります。
なぜ文章を作る必要があるのかというと、まず目でみる、耳で聞く、発声するだけでは“やらされている感”が出てきて作業になってしまう可能性があるからです。
初めははやる気があってスムーズに覚えることができたとしても、後々はそのやらされている感から集中力が欠けてしまいかねません。
また、自分で文章を作るということは、“脳を活発に動かす状態”を作るということになります。この結果としてより単語が頭に定着しやすくなります。
文章といっても長いものを考える必要はなく、たとえばbudget(予算)であれば、I don’t have any budget.のように簡単かつ短い文で問題ありません。
単語帳に文が書いてあればそれを参考にしても構いませんが、自分で文を作るということに意味があるので、あくまで参考に留めて自分で創作するようにしましょう。
文章を多読、音声を多聴する
単語数を増やすというのも大切ですが、単語の理解力を高めるために文章を多読するということも非常に大切です。
TOEICのリーディングセクションでは長文が出題され難しい単語がよく出ますが、単語だけに頼って読んでいくと、分からない単語が出てきた時に文全体が理解できなくなってしまいます。
これを回避するために文章を多読するようにしましょう。多読すると文を流れとして捉えることができるようになって、単語に依存せずに文を理解できるようになります。
多読に用いるものは何でも構いません。TOEICのリーディング教材でも良いですし、あくまで多読を目的にしているので、英字新聞や英語のニュースでも問題ありません。
ただし、あまり内容が難しすぎると詰まる回数が多くなってしまい多読できなくなる可能性があるので、ご自身のレベルに応じたものを利用するのが良いかと思います。
同様に音声も多聴しましょう。多聴することで単語を聴き取れなくても、内容が理解できるようになります。ご自身のレベルに合ったものを利用して、聴くことに慣れていきましょう。
TOEIC単語を効率的に覚える勉強法【実践編】
次はTOEICの単語を効率的に覚えるための実践的な勉強法についてです。上でご紹介したことを踏まえた上で、どのように勉強すれば良いかの具体例となります。
その前に、まずはTOEICの頻出単語を収録している単語帳を手に入れてなければ始まりません。
お好きなものを選んでも問題ありませんが、私がおすすめする単語帳がありますので、どの単語帳が良いのか迷っている方は、おすすめのものから選んでみてください。
TOEICで使えるおすすめの単語帳
TOEICに特化した単語帳にはさまざまなものがありますが、個人的におすすめなのが「世界一わかりやすい TOEICテストの英単語」と「TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ」です。
前者は現在400〜500点以下の人向け、後者は500点以上の人向けという感じになります。いずれも単語の収録数は少ないものの、TOEICでよく出る単語のみ掲載されていて、さらに読みやすく分かりやすいので、飽きずに繰り返し使用できます。
ちなみに私は中学や高校の時にターゲットが教材だったので、TOEIC対策にも使用していましたが、効率を考えると上2つの方が良いので2つのみをおすすめとします。
世界一わかりやすい TOEICテストの英単語
本書にはTOEICの頻出単語が収録しているほか、イラストが多用されているので、直感的に単語の意味を理解することができます。
羅列してあるだけの単語帳に苦手意識を持っている人にとっては、かなり面白味のある単語帳になるのではないかと思います。
TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ
本書の目玉となるのがフレーズです。ほとんどの単語帳に単語とフレーズが掲載されていますが、フレーズに関してはTOEICに特化しているわけではなく、一般的なものが多い傾向にあります。
しかし、本書に掲載されているフレーズはどれもTOEICの本番で頻出するものばかり。まさにTOEIC専用の単語帳といっても過言ではなく、単語とフレーズを同時に覚えることができるので、かなり効率的に勉強できます。
TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)
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単語を覚えるステップ
単語帳を用意したら、「①1日20語を見て覚える」「②覚えた単語をリスニングで復習する」「③単語を使って自分で簡単な文章を作る」、この3つのステップで覚えていきます。
この3ステップを早朝に1度行い、可能であれば寝る前に少し復習しましょう。
①1日20語を見て覚える
まずは1日20語に設定します。「1日100語覚えてやる!」と意気込んでも続きませんし、多くの人が単語の勉強にそれほど時間を割けないでしょう。
なので、1日20語くらいが最適だと思います。もしくはそれよりも少なくして、10語とか15語とかでも良いかと思います。
いずれにしても、単語を完全に暗記するためには何度も復習する必要がありますので、無理のない単語数に設定してください。
なお、覚える単語というのはもちろん暗記できていない単語になります。つまりは1秒以内に頭に出てこない単語ということになります。
1秒以内に頭に出てこない単語をピックアップして、まずは単語帳を見て“ある程度”覚えましょう。
②覚えた単語をリスニングで復習する
ある程度覚えた20語の単語を次は耳で復習するようにします。この目的はもちろん発音を覚えるためです。
耳で聞いて発音を覚えることで頭にインプットしやすくなりますし、TOEICのリスニングセクションにも役立ちますので、必ず付属のCDなどを使用して耳で聴くようにしてください。
そして耳で聴いた発音をそっくり真似して口で発音しましょう。こうすることで、覚えた発音をさらに頭に定着させやすくなります。
単語1つにつき、5回〜10回くらいは耳で聴いて口で発音すると良いかと思います。耳で聴く時、口で発音する時はいずれも、その単語の意味を想像しながらやるとより効果的です。
③単語を使って自分で簡単な文章を作る
単語を耳で聴いて口で発音した後は、その単語を使って自分で簡単な文章を作ってみましょう。創作は完全なアウトプットになって、さらに頭に定着するようになります。
上で述べたように、budget(予算)であればI don’t have any budget.のように簡単かつ短い文で問題ありません。
このような文章を作ってみた後に、文章を5〜10回くらい発声してみましょう。これも同様に、その文章に該当するシチュエーションを想像しながら発声すると効果的です。
単語を覚える1か月のスケジュール
このようなステップを踏むと、かなり単語が頭に定着しやすくなって、効率的に自分のものにすることができます。
とはいえ、忘却曲線の項で述べたように、人は時間が経つにつれて覚えた物事を忘れていってしまうので、確実に暗記するためには必ず復習する必要があります。
そこで私なりの単語を覚えるために1か月のスケジュールをご紹介したいと思います。
このようなカレンダーがあるとして、1日目(日曜)にスタートすることとします。
その場合、まず1日目に20語を覚えます。そして4日目(水曜)にそれまでの計60語を復習します。(4日目は新たな単語を覚えない)
この復習で覚えられていない単語は次の5日目(木曜)に繰り越して覚えます。(復習で全て覚えた場合には新たに20語を覚える)
そして7日目(土曜)に1週間分の単語を復習します。(7日目は新たな単語を覚えない)
この復習で覚えられていない単語は次の8日目(日曜日)に繰り越す、というような感じで進めていき、28日目(土曜)に1か月分の単語を総復習します。
このように進めていけば、計画的に単語を覚えていけます。どのようにスケジュールを立てれば良いのか分からない人は、ぜひ私のスケジュールを参考にしてみてください。
TOEICの単語を効率的に覚えるための勉強法まとめ
単語の勉強は単調で煩わしく感じてしまうものですが、効率的に勉強することができれば煩わしさが薄くなります。また、時間の削減にも繋がります。
TOEICで高得点をとるためには習得する単語数を増やす必要がありますので、煩わしさを感じている人は、ぜひ当ページで紹介した方法を実践してみてください。
人によっては今までよりも格段に暗記スピードが上がるはずです。