デスクトップパソコンは、自分好みに改造できるという大きなメリットがありますが、その反面トラブルが多く、一つのトラブルに対して様々な原因が考えられるので、知識がないとトラブルが起こった時になかなか直せず苦労してしまいます。
数あるトラブルの中でもグラボ(グラフィックボード)が認識しないということはよくあるもので、せっかくグラボを新調したのに使えないとなると、かなり辛いものです。中には新グラボを使わずに、旧グラボで継続している人もいるのではないでしょうか。
グラボが認識しない原因には様々なものが考えられますが、ファンが回っている場合には電力が供給され電源に問題がないと推測されます。では、何が原因になっているのでしょうか?
個人的な見解になりますが、ここでは「ファンは回るのにグラボが認識しない」場合に考えられる原因をいくつかご紹介したいと思います。
ファンは回るのにグラボが認識しない原因
モニターの電源がOFFになっている
灯台下暗しといいますが、見落としがちな点として、モニターの電源自体がOFFになっている事例も少なからずあります。
この事例では、「グラボが認識しない=デバイスとして認識されない」ではなく、「グラボが認識しない=モニターに映らない」という場合に該当します。
これまでデスクトップパソコンを使用していたという方なら、モニターの電源がOFFになっていることはないと思いますが、グラボと併せてモニターも新調された方や、初めてBTOパソコンを一式揃えたという方はモニターの電源がOFFになっている可能性もあるので、確認してみてください。
モニターの入力端子の接続不良・故障
パソコンとモニターをつなぐものにVGAケーブル、DVIケーブル、HDMIケーブルなどがありますが、このようなケーブルの接続が悪かったり、ケーブル自体が故障していてもモニターに映りません。この事例も「グラボが認識しない=モニターに映らない」に該当します。
また、マザボ(マザーボード)側の出力にケーブルを挿している場合も、グラボは認識されません。これは割とよくある事例なので、グラボ側の出力にケーブルが挿さっているか一度確認してみてください。
ドライバをインストールしていない
グラボを新しくした場合にはドライバのインストールが不可欠です。これも灯台下暗しとも言える事例なので、一度確認してみましょう。
グラボ購入時にドライバCDが付属している場合にはCDからインストール、ない場合にはメーカーHPから最新Verをダウンロード&インストールしましょう。
グラフィックボードの故障
そもそもグラボが故障しているということも、原因として考えられるでしょう。グラボの初期不良は多く、中古で購入したグラボが故障していたという場合もあります。
グラボの故障は、マザボに装着しても通電を確認できず(LEDが点灯しない・ファンが回らない)完全に動作不良になることもありますし、モニターに映りはするものの不安定になるなど、その状況は様々です。
ただし、グラボが故障していると断定するのは難しいのが実情で、何をしても認識しない場合に最終的な判断としてグラボの故障の可能性を疑うのが通常でしょう。
ライザーカードとマザーボードの相性が悪い
マザボに装着できるグラボは2枚程度であるのが一般的で、それよりも多くのグラボを使用したいという場合にはライザーカードが必要になります。
ライザーカードとマザボの相性が悪いような場合や、初期不良の場合などでも、全部または一部のグラボが認識しないことがあります。
マザボに装着すると認識するがライザーカードを使用すると認識しなくなるなら、ライザーカードが原因になっていると考えられます。
BIOSにおけるグラボの優先順位が低い
BIOSには、どのデバイスを優先して使用するかという情報を設定できますが、新調したグラボよりもオンボードのグラフィックなど他のデバイスの優先順位が高い設定になっていると、新調したグラボが認識されません。
BIOS上に「Primary Graphics Adapter」のような記載項目があるので、まずはそこまでアクセスしてみましょう。そうすると「Internal VGA First」や「PCIE」・「PCI-Expresse」といった表記を確認できると思います。
「Internal VGA First」といった表記が選択されているとオンボードのグラフィック、「PCIE」や「PCI-Expresse」のような表記が選択されていると新調したグラボが優先されるので、「PCIE」や「PCI-Expresse」の表記を選択しましょう。
BIOSによる不具合
BIOSを更新していなかったり、何らかの不具合によってグラボが認識されない事例もあるようです。
この事例では、BIOSの更新やCMOSクリア(BIOS初期化)で改善される場合があります。
グラボへの電力供給が足りていない
グラボのファンが回っているということは、電力がしっかりと供給されていることを示していますが、電源投入時に一瞬だけファンが回ってすぐに止まる場合には電力供給が足りていない可能性があります。
グラボによって補助電源が必要なものとそうでないものがあり、必要ない場合には電力供給が足りないということは考えにくいですが、補助電源が必要なものの場合にはPCIケーブルで電力を供給してあげなければグラボが正常に動作せず、一瞬だけファンが回って止まるといったことになってしまうのです。
また、電源ユニットの最大供給電力量にも注意が必要で、供給できる電力が不足していてもパーツの動作に影響します。電力量が足りているかも確認してみましょう。
どうしても認識されないなら購入店へ
このようにグラボが認識しない原因は多岐に渡るので、原因を特定するのはなかなか難しいものです。また、考えられる原因を一つ一つ潰していくことが必須ですが、色々と試すうちに状態がさらに悪くなることも珍しくありません。
原因の中にはグラボやケーブル類の初期不良も考えられるので、どうしても認識しない場合には購入店や修理業者などに依頼して状態をみてもらうことをおすすめします。
購入店であれば初期不良なら交換してくれますし、店舗によっては診断から取り付けまでしてもらえることもあります。
もちろんこの場合には、状態に応じて1万円〜数万円(診断だけなら1万円以内が一般的)の費用がかかってしまいますが、自分でできることを全てやっても解決できないなら仕方がありません。使えないよりはマシでしょう。
まとめ
グラボが認識しない原因を大きく分けると、モニターの問題、ドライバ・システム関連の問題、グラボの問題、マザボの問題になります。
問題を解決するために何が原因なのかを一つ一つ探っていくことになりますが、考えられる原因が多すぎて、よく分からなくなってしまうことも珍しくはないでしょう。
しかし、何をやっても認識せずに手詰まりとなっても、結局のところ初歩的なミスである場合も多くあります。とはいえ、初期不良の可能性もあるので、色々と試してみても直らないようなら、購入店で診てもらうなど他者の力を借りることをおすすめします。