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今だから読みたい時代小説のおすすめ5選!初心者でも楽しめる作品をご紹介!

時代小説のおもしろさって、まだまだ世の中に浸透していないように思うのです。

私は以前古書店で働いていた際に時代小説のジャンルを担当していた時期があるのですが、そのときに「時代小説はどんな人でも楽しめるグローバルなコンテンツだ」と実感して今に至ります。

それまでは「時代小説=歴史が好きな人向け」や「年齢層が高めの本」といった印象があったのですが、読んでみるとそういった評価はどこ吹く風。

今となっては読書の初心者にもおすすめできる、優良な本をたくさん見つけることができました。

そこで今回は読書に馴染みがない人でも楽しめる時代小説を、個人的な見解で5つ選んでみたいと思います。

時代小説に興味がある、読みやすい本から読書を始めてみたい、そんな人はぜひ以下の小説をチェックしてみてください。

時代小説をおすすめする理由

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読みやすさを重視したものが豊富

時代小説と聞くと、難解な歴史や面倒くさい言葉遣いが溢れているのではと警戒する人もいるかもしれません。

しかし昨今はそういった難しい内容の本ばかりではなく、かなり気軽に読める時代劇も増えてきているのです。

お決まりのセリフや流れが既に完成されているので、最後までつっかえることなく読み進めることができるでしょう。

キャラクターの動きや人情的なストーリーを重視したものも豊富なので、感情移入しやすいのも特徴。

そのため体が読書に慣れていないときでも、簡単に本の内容を理解することができるのです。

戦国、江戸、近代と時代背景が明確に示されているのも魅力で、読む前からある程度小説内の情景が把握できるようになっています。

いちいち世界観やキャラクターの立ち位置を確認しなおす必要はないため、慣れてくれば続けて何冊も読むことができるでしょう。

読みやすさという利点があるからこそ、時代小説は多くの人におすすめできるのです。

シリーズ化しやすいのも利点

時代小説は、シリーズものとして人気を博す作品も多いのが特徴です。

そのため1冊を読み終わった後も読書を続けやすく、多読を習慣づけるよいきっかけにもなるでしょう。

何十冊と続く物語も珍しくないため、読書の際には1つの目標となり得ます。

なかなか多くの本を読むことができないという場合は、シリーズ化されている時代小説に挑戦してみるのがおすすめです。

シリーズものは主人公や周囲のキャラクターがある程度固定されているので、新しい情報やストーリーに集中できます。

それは文書の読みやすさにもつながり、快適な読書のサポートになってくれるでしょう。

小説を読む時間を確保できない時期などは、シリーズとしてまとめられている時代小説をチェックしてみてください。

何を重視して読むかは個人の自由

時代小説の楽しみ方は、完全に個人の自由に任されています。

歴史上に実在する人物を読むのもよし、時代背景や当時の生活を勉強するつもりで読むのもよし、妖怪など時代小説ならではのファンタジー要素を楽しむのもOKです。

時代小説にはそういった読書の要望に応えられるだけのラインナップがそろっているので、自分の趣味に合った本もきっと見つかることでしょう。

侍や忍者が出てくるものばかりと思われがちですが、歴史を舞台装置として使いながら1つのジャンルに特化した小説も多く、バラエティに富んだ内容を楽しめるコンテンツとなっています。

例えば料理ものやミステリー、医療ものやライトノベル風のものなど、その種類はさまざまです。

「時代小説=硬派な内容」という先入観を持っていると、あまりの守備範囲の広さに驚くかもしれません。

自分の中で重点的に読みたいジャンルがあるのなら、時代小説も要確認となるでしょう。

おすすめの時代小説5選!

のぼうの城/和田竜

のぼうの城

圧倒的なスピード感が読みやすさを作り出している「和田竜」の作品のなかでも、いい塩梅に歴史小説として完成されているのが「のぼうの城」です。

会話でぐんぐんと物語を引っ張っていく構成となっているため、時代小説らしい疾走感を随所で味わうことができるでしょう。

直木賞作家としてだけでなく、脚本家としても名高い和田竜の良いところが凝縮された傑作となっているので、読書に不慣れな人にもおすすめです。

キャラクターが1人1人しっかりと立っていることから情景を想像しやすく、現代小説に近い感覚で読み進めることも可能でしょう。

人間関係における心理的な変化を楽しむことができるので、戦国時代の武将や兵士に親近感を覚えることも多いかもしれません。

ただこんな歴史があった、こんな人物が存在していたという紹介に留まっていない作品であるため、人間味に溢れた掛け合いを楽しめるのが特徴となっているのです。

弱者がその立場を覆すようなストーリー展開も魅力で、読んでいる最中には痛快さが次々と提供されます。

最初から主人公側の状況がはっきりしているおかげで、歴史に深く精通していなくても問題なく読み進めることができるでしょう。

それでも小説らしく「深読み」できる要素はいくつも残されていて、特に物語の主人公である成田長親が何を考え、どのような心理状態であったのかを想像するのは読者の役目となっています。

のぼうの城をきっかけに豊臣秀吉の小田原征伐や舞台となった忍城について調べて、成田長親の気持ちをじっくりと考えてみるのもおもしろいですよ。

読後感もなかなかのものなので、初心者でも時代小説の良さを最後まで存分に味わえます。

映画にもなっているため、読書の後は映像でものぼうの城を楽しんでみるといいですね。

また本作が気に入ったのなら、よりキャラクター描写にフォーカスした和田竜作品「村上海賊の娘」もおすすめできます。

のぼうの城

のぼうの城

みをつくし料理帖/髙田郁

花だより みをつくし料理帖 特別巻

江戸時代の雰囲気と料理にスポットを当てた高田郁の傑作「みをつくし料理帖」も、初心者におすすめしたい時代小説となっています。

当時の一般的な食生活をさまざまな角度から観察できるので、歴史を家庭的な面から知るのにうってつけの小説です。

関西と江戸における料理事情の違いなども詳しく書かれていて、感心できるポイントもかなりあります。

料理という親しみやすいジャンルから時代を遡れるので、内容に置いてけぼりをくうことはないでしょう。

料理に関する発見やトラブルと共に主人公である澪の成長も描写されるため、かなり主人公の心情に歩み寄った状態で読み進められるのも特徴。

澪の「不幸に負けない強さ」を物語の軸としているおかげで、気持ちよくページをめくり続けることができるでしょう。

人間模様の描写と料理に関する記述の配分が個人的にはちょうどよく、飽きずにすらすらと読むことができました。

1冊の文量も多すぎず、全10巻で既に完結しているので一気に読むことも可能です。ちなみに私は一気読みでした。

シリーズものとしてはいい長さでまとまっているので、時代小説に触れてみる最初の1冊としておすすめします。

花だより みをつくし料理帖 特別巻

花だより みをつくし料理帖 特別巻


しゃばけ/畠中恵

しゃばけシリーズ 15冊セット (新潮文庫)

とにかく読み終えること、読書に慣れることを目標とするのなら、畠中恵の「しゃばけ」シリーズもおすすめ。

いわゆるファンタジー時代小説として分類されるこちらの本は、妖怪と人間が江戸を舞台に活躍する内容となっています。

かなり読みやすさを重視して作られていて、どちらかといえばライトノベル風の作品であるといえるでしょう。

お約束的な物語をキャラクターの魅力で引っ張るという感じで進むため、難しい時代背景等を考える必要はありません。

それでいて時代小説らしい表現方法や技法があちこちにちりばめられているので、入門にはピッタリとなっています。

一方でマンガチックな見せ方も多いため、硬派な時代劇にハマりたい人には向かないかもしれません。

さらっと読める文体に魅力を感じるのなら、ぜひ1度手に取ってみるといいでしょう。

シリーズが進むごとに新しい妖怪が登場したり、ミステリー的な要素も増えたりするので、読み進めるごとに違った展開を楽しめます。

短編集として刊行されているものも多いので、読みやすさが変わることはないのもしゃばけの魅力ですね。

桜ほうさら/宮部みゆき

桜ほうさら(上) (PHP文芸文庫)

ミステリーやファンタジー界で既にトップに君臨する小説家である宮部みゆきは、時代小説でもその実力を発揮しているのです。

たくさんの傑作が世に出されていますが、個人的には割と最近の作品である「桜ほうさら」をおすすめします。

舞台は江戸、内容はミステリー、そこに投入される家族の問題や恋愛要素、読めばきっと「ちょっと欲張り過ぎじゃない?」と思うほどの濃密さを感じることでしょう。

あらゆるエッセンスが1つの作品としてまとまっているのは奇跡的で、時代小説とジャンルでくくってしまうのがもったいないように思えます。

やや主人公にとって厳しい状況でありながら、それでも人々とのつながりによって克服していく様子が見られるので、時代小説らしい人情風景を楽しめるでしょう。

しかし文章の所々から感じられる「リアルさ」や「人間臭さ」が何となく不気味でもあり、単純な物語として完結させないような工夫を感じます。

宮部みゆきっぽい独特の雰囲気がしっかりと閉じ込められているので、ファンはもちろん現代小説をよく読む人にもおすすめの作品です。

桜ほうさら(上) (PHP文芸文庫)

桜ほうさら(上) (PHP文芸文庫)

燃えよ剣/司馬遼太郎

燃えよ剣

私個人の意見ではありますが、時代小説といえば司馬遼太郎が最初に思い出されます。

なかでも「燃えよ剣」は名作中の名作で、今後も読み返すことが決定している本の1冊ですね。

歴史上の人物を生き生きと動かす風のような文体と、時代の雰囲気をにおわせる重厚な言葉の数々は、「これぞ時代小説!」と感じさせてくれるでしょう。

やや固い感じは否めないため初心者には不向きと言われるかもしれませんが、あえて時代小説に慣れていないときにこそ読んでほしい本だと私は思います。

それは燃えよ剣をはじめとした司馬遼太郎作品には、現代における時代小説の基礎となっている要素がいくつも秘められているように感じるからです。

司馬遼太郎を読むことで時代小説について、ひいては小説全体を読むことについて学べるのではないでしょうか。

過激な表現や血なまぐささはありますが、その奥に隠されている要素を読み取る力を養えれば、時代小説はもっとおもしろいものになります。

ページ数は多く、しかも文庫版だと上下巻、気軽に読めるものではないかもしれませんが、読み終えたときの達成感は本物です。

時代小説に興味を持てたのなら、ぜひ早いうちに司馬遼太郎の作品に触れてみてください。

お気に召したなら他にも「竜馬がゆく」や「関ケ原」など名作はいくらでもあるので、司馬遼太郎ワールドを余すことなく堪能することをおすすめします。

燃えよ剣

燃えよ剣

時代小説を読むときのコツとは

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頭の中でキャラクターを作ると読みやすくなる

時代小説に登場する人物の多くは、ある程度記号的に配置されていることがあります。

「侍」や「女中」といった簡単な紹介だけで済まされてしまうことも、決して珍しくはありません。

そのため登場人物が増えてくると、上手くそれぞれの個性を把握しきれなくなり、誰が誰なのかわからなくなることもあるでしょう。

読みやすさを保つためにも、登場人物に対して自分なりのキャラクターをつけて、頭の中で判別がつくようにすることをおすすめします。

例えば私は実在する役者を勝手に当てはめて、キャラクターの造形を作ってから読み進めることが多いです。

作中の人物描写や性格を考慮してしっくりくる役者を選べると、その人物の動きや声を想像しやすくなるでしょう。

時代小説は服装に特徴があったり髪型が変わっていたりといったことはほとんどないので、自分から積極的にキャラクターの特徴を作っていくことがポイントになります。

慣れると登場人物を自分なりに解釈することが1つの楽しみに変わってくるので、ぜひ試してみてください。

好きな歴史上の人物がいるなら優先して読むことをおすすめ

もし好きな歴史上の人物がいるのなら、その人を題材にした時代小説を優先して読むことをおすすめします。

愛着のある人物なら気持ちよく読み進めることができるので、読書のモチベーションを保ちやすくなるでしょう。

その作者独自の解釈や描写を楽しむこともでき、これまで知らなかったその人物の内面を把握するきっかけにもなります。

例えば織田信長や徳川家康などの有名武将は多くの作家によって書かれているため、それぞれを比較してみるのもおもしろいでしょう。

特に思い入れのある歴史上の人物がいない場合は、小説内の時代で作品を選別するのもおすすめです。

時代小説といっても、そのなかで描かれている年代は大きく異なります。

平安、戦国、江戸、幕末、明治、近代などのなかから、まずは好きな時代を1つ選んでみるといいでしょう。

同じジャンルを書いている小説であっても、舞台となっている時代によって描写のされ方や特徴が変わってくるので、その違いを楽しむのも一興ですよ。

まとめ

時代小説の評価は、私の周囲を見るかぎりでは満足のいくものであるとはいえないようです。

もしこの記事を見て興味を持っていただけたのなら、ぜひ時代小説の世界に足を踏み入れてみることをおすすめします。

時代小説は決して時代錯誤的な内容ではなく、そこでしか表現できない描写や芸術性の宝庫となっているのです。

勉強にもなり、エンタメとしても楽しめる、そんなお得な時代小説をスル―し続けるのはもったいないことなのかもしれませんよ。

この記事を書いた人

syunkin
ガジェット、書籍、仮想通貨などを専門に執筆しているフリーライターです。新しい情報を読む楽しさを、少しでも提供できたらうれしく思います。
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