バイク乗りの夏の一大イベント 北海道ツーリングの魅力と楽しみ方

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荷物満載の愛車にまたがった多くのライダーが、毎年夏に一斉に目指す場所といえば、日本最北のツーリング天国北海道です。

信号のない気持ちの良いロングストレート、本州とは別次元のスケールの大きな景色、無料とは思えない素敵なキャンプ場と、毎日食べても飽きない北の大地の味覚の数々、さらには旅の疲れを癒してくれる各地の温泉。

北海道ツーリングの魅力は、一言では語れず、初めて行っても何度訪れても、いつもライダーの心をガッチリ掴んでくれます。

バイクブーム全盛期の80年代に比べれば、北海道を訪れるライダーの絶対数は減ったものの、現代においても「北海道ツーリング」が、夏のバイクツーリングシーンの一番の風物詩であることは間違いないです。

ツーリングを愛するライダーなら、誰もが一度は愛車と行きたいと願う「北海道ツーリング」その魅力と楽しみ方を紹介します。

バイク乗りの夏の一大イベント 北海道ツーリングの魅力とは?

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オホーツク海の爽快な道

北海道ツーリングの魅力の数々を語ればキリが無いですが、何よりも一番の魅力は「バイクで旅することがひたすら楽しい事」とにかくこれに尽きます。

ではなぜ、車でもなく、歩きでもなく、バイクで旅することがひたすら楽しいのか?

まず、北海道は「バイクで旅をする」という文化が、おそらく日本で一番根付いていることが挙げられます。実際、バイクで北海道を走っていると、あちこちに「ライダー歓迎、バイク歓迎」の文字を見かけます。

本州においては、どちらかといえば、車に比べて嫌煙されがちなバイクですが、北海道においては、バイクは歓迎される乗り物なのです。

また、北海道には「ライダーハウス」という、80年代に自然発生的に始まった、ライダー用の簡易宿泊施設が点在しています。多くのライダーハウスは、無料〜格安で宿泊することができ、主に地元の方のご好意だったり、地方の自治体が運営したりしています。

これこそが、北海道では「バイクで旅をする」という文化が受け入れられている証拠であり、ライダー歓迎ムードの証なのです。

さらに、本州とはスケールが違う、北海道の大自然を味わうためには、空気感や温度感、現地の風や匂いを感じるバイクが何よりも最適な乗り物であり、車では味わえない、五感を通じて北海道の大自然を味わえることも魅力の一つです。

地平線まで続く道を、ただひたすらアクセルを開けて駆け抜けるのは、まさにロマンであり、これこそがバイク本来の楽しみ方だと思えるはずです。

また、北海道には「キャンプで旅をする」という文化も根付いており、道内には数多くのキャンプ場が点在しています。

車と違い、車内で寝ることができないバイクのデメリットを「キャンプで旅がし易い」という点で補うことができるのも、北海道がバイクで旅をし易い理由の一つです。

つまり、どこを走っても楽しく、どこに行っても歓迎され、キャンプ道具を積んで旅する文化が根付いていて、さらには北海道では高確率で交わされる、ライダー同士のピースサイン、、、だから「バイクで旅することがひたすら楽しい」これが北海道ツーリングの最大の魅力です。

バイク乗りの夏の一大イベント 北海道ツーリングの計画の立て方

晴れて憧れの北海道ツーリング行きが決まったら、せっかく行くならとことん楽しみたい!と誰もが思うはずです。そのためには、事前の計画立てが何よりも大切です。

もちろん、行き当たりばったりの旅もいいですが、ある程度の計画を立てた方が、北海道の旅はより楽しくなります。

まず、その理由の一つが、北海道は大きな離島であるということです。つまり、道民でもない限り、北海道ツーリングに行くことを決めたら、北海道へどうやって行くか?を、まずは計画する必要があるのです。

北海道へ行く方法を考えてみよう

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さて、北海道へバイクで行くために、最もポピュラーな方法が「長距離フェリー」を使う方法です。長距離フェリーとは、愛車とフェリーに乗り込んで、船内で一泊しながら北海道へ向かう手段です。

関東圏のライダーなら、茨城の大洗から出ている「三井商船フェリー」関西圏のライダーなら、舞鶴と敦賀から出ている「新日本海フェリー」東海と東北のライダーなら、名古屋と仙台から出ている「太平洋フェリー」この3つが、愛車と北海道へ行ける長距離フェリーです。

船内ではご飯を食べたり、お風呂に入ったり、海を見ながらツーリングマップルを開いたり、いつも日常とは違う、ゆったりとした船旅を味わいながら、北海道ツーリングへの思いを馳せることができます。

以上の観点から、愛車と共にゆっくりと北海道を目指せる長距離フェリーは、旅の気分が盛り上がる、一番オススメの方法です。

次に、北海道へ向かう方法として考えられるのが、愛車で青森まで走り、青森各地からの短距離フェリーで北海道を目指す方法です。これは一般的には「自走で北海道へ向かう」と言われており、長距離走行が得意なライダーや、フェリーの一泊が勿体無い、時間に限りのあるライダーに好まれる方法です。

しかし、長距離フェリーにしろ、自走にしろ、どちらにも言えるのは、北海道へ向かうときから「北海道ツーリング」は始まっているという事です。

現地での計画を考えてみよう

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北海道へ向かう方法を決めたら、次は現地での旅計画の始まりです。北海道をバイクで旅する上で、最も大切なことは「本州と同じ尺度で地図を見ない」ことです。

実は、ライダーのバイブル「ツーリングマップル北海道」は、本州のそれとは地図の尺度が違っています。なので、本州と同じ感覚で、だいたい〇〇の町と△△の町は、このくらいの距離だから、余裕で1日でいけるだろうと思うことは、間違いである可能性が高いのです。

北海道は想像以上に大きく、地図上の次の交差点がなかなか見えてこない事が多々あります。また、町と町の間が100km以上離れていることも多く、時間的にも距離的にも、余裕を持った計画を立てることが必要になってきます。

せっかく憧れの北海道をバイクで走る機会に恵まれた訳なので、現地では焦らずじっくり、ゆとりを持って北の大地を満喫しましょう。

バイク乗りの夏の一大イベント 北海道ツーリングの持ち物

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北海道ツーリングの計画がある程度決まったら、次は北海道ツーリングに必要なものを揃えていきましょう。

実際には、現地での宿泊は宿をメインに使うのか、キャンプをメインにするのか、必要なものを揃える上で、ここが一番の選択肢になります。

しかし、せっかく北海道をバイクで旅するなら、やはりキャンプ道具を揃えて、キャンプツーリングでいきたいものです。一般的には「テント、シュラフ、マット」この3点セットがあれば、とりあえずキャンプ場で寝ることは可能です。

他には、キャンプ場で自分で調理をする方は調理器具、キャンプ場で快適に過ごしたい方はテーブルやチェア、雨の日もキャンプをしたい方はタープなど、自分の普段のキャンプスタイルや、北海道でやりたいキャンプスタイルに合わせて、必要なものをチョイスしていきましょう。

必要なキャンプ用品を集めたら、次はライダーとバイクの装備を揃えていきます。

まず、ライダーの装備ですが、北海道の夏は本州が真夏の暑さの時も、かなり寒く感じる場合があるという認識で準備していきましょう。具体的には、稚内などの道北エリア、知床や根室などの道東エリアにおいては、8月でも日中の気温が15度前後、夜間と早朝は10度前後まで気温が下がる時もあります。

つまり、本州で言えば「秋の気温」に相当しますので、ライダーの装備は基本はスリーシーズン対応のジャケットで、防寒具は必ず持っていくようにしましょう。もちろんレインウエアも必須の装備です。

次にバイクの装備ですが、特にキャンプ道具を積載する場合は、シートバックとサイドバックのフル積載になることが多いので、くれぐれも自分のバイクの運転に支障の出ないバックを選ぶようにしましょう。

また、最近はスマホやインカム、アクションカメラなどの電子機器を持ち歩くライダーも多いので、モバイルバッテリーなども、北海道ツーリングの必須のアイテムと言えます。

バイク乗りの夏の一大イベント 北海道ツーリングの各エリアについて

北海道ツーリングの旅の計画も、持ち物の準備も済ませたら、後はひたすら現地で楽しむ妄想を膨らませるだけです。この段階が一番楽しく、北海道ツーリングまでの時間を一番長く感じるときでもあります。

さて、ツーリング天国北海道は、主に4つのエリアに分かれており、それぞれのエリアに特徴があります。

北海道の玄関口「道南エリア」

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洞爺湖の湖畔の公園

苫小牧や函館など、北海道ツーリングに訪れたライダーが、一番はじめにフェリーで降り立つ場所が道南エリアです。

そのため、北海道の4つの各エリアの中では、特別な場合ではない限り、唯一全てのライダーが訪れる場所とも言えます。

道南エリアの主なツーリングスポットとしては、洞爺湖や支笏湖などの湖畔の道、羊蹄山やニセコ周辺のワインディング、函館半島の西海岸の道などが挙げられます。

また、登別温泉は道内屈指の一大温泉スポットで、長旅の疲れを癒すことができますし、室蘭は大自然が魅力の北海道において「工場の夜景が観光名所」という異色の場所だったりします。

もちろん、函館の朝市で海鮮丼を食べることは、北海道ツーリングのマストの一つです。

北海道を代表する風景がある「道央エリア」

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富良野といえばファーム富田

次に紹介するのは「道央エリア」です。北の大地の大都会札幌や、異国情緒溢れる運河が魅力の小樽をはじめとする、北海道を代表する街の楽しみ。富良野や美瑛などの北海道を代表する風景、あの六花亭の本社がある帯広など、誰もが思い浮かべる北海道のイメージがあるのが、道央エリアと言えます。

主なツーリングスポットとしては、やはり富良野や美瑛の美しい景色を眺めながらのライディング、北海道最南端の襟裳岬のシーサイドラインなどがあげられます。

十勝エリアでは北海道遺産の「モール泉の温泉」に入ることもできますし、豚丼や六花亭のスイーツなど、北の大地の味覚の数々を味わうことができます。

目指せ最北端、全てのライダーが目指す場所「道北エリア」

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日本最北端の地「宗谷岬」

「道北エリア」にある、日本最北端の「宗谷岬」は、北海道を走る全てのライダーが目指す場所です。

その「宗谷岬」がある稚内までの、北海道の西海岸を貫くオロロンラインは、信号もガードレールもない、果てしなく続く直線道路が延々70kmも続く、日本離れした圧倒的なスケールの道です。

オロロンラインは、ここが走りたいが故に毎年北海道を訪れるというライダーがいるほど、バイク乗りにとって憧れの道でもあります。

また、北海道第2の都市の旭川があるのも道北エリアで、もやは北海道観光の顔となった「旭山動物園」は、ライダーにも大人気の場所です。

また、大雪山を貫く豪快なワインディングロードは、道内最高所の三国峠の圧巻の景色を見るために、毎年多くのライダーが訪れる場所であり、道内屈指の温泉天国でもあります。

真の北海道をとことん味わえる「道東エリア」

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羅臼岳が迫ってくる「知床横断道路」

最後に紹介する「道東エリア」は、北海道の自然の美しさと厳しさが味わえる「真の北海道」とも言えるエリアです。

ライダーなら、日本屈指の絶景ワインディングロード、世界遺産の「知床横断道路」は絶対に走るべきですし、他にも美幌峠や摩周湖など、北海道の直線道路に飽きたライダーには堪らない、ワインディングロードの宝庫でもあります。

日本最大の湿原の「釧路湿原」や、日本最東端の根室の「納沙布岬」があるのも道東エリアです。また、中標津の開陽台は、数ある北海道のツーリングスポットの中でも「ライダーの聖地」と呼ばれており、バイク乗りなら一度は訪れるべきポイントです。

道東エリアは気温が低く、霧の発生率が高い上に、1日のうちで天気がコロコロ変わりますので、くれぐれも防寒着やレインウエアの用意を忘れないようにしましょう。

また北海道の各エリアの中でも、道東エリアは直線道路率が非常に高いので、スピード感覚の麻痺にも要注意です。

バイク乗りの夏の一大イベント 北海道ツーリングの注意点について

せっかくの北海道ツーリングを、無事故無違反、ノートラブルで楽しめるように、注意すべき点を何点か解説していきます。

北海道はとても広いということを認識する

「北海道はとても広い」頭の中ではわかっていても、なかなか実感できないものです。なので、今日はここまで行こうと決めていても、目的地までたどり着けない日も出てくることでしょう。

そんな時は焦らずに、日があるうちに、その日の寝床を決めましょう。

一歩でも都市部を出ると、北海道の夜は漆黒の闇です。さらにはエゾジカをはじめとする、野生動物の飛び出しのリスクも出てくるので、北海道の夜間走行は極力避けるべきです。

毎日、朝から晩までガッツリ走る走行プランは避けて、余裕を持ったツーリング計画を立てましょう。

ガソリンは早め早めの給油を心がける

北海道のガソリンスタンドは、営業時間が短かったり、日曜日が休みの場所が多くあります。ただでさえ、都市部を抜けるとガソリンスタンドが極端に少なくなるので、愛車の給油は常に早め早めを心がけましょう。

なお「ホクレン」という、北海道の農業組合が運営しているガソリンスタンドでは、給油時にオリジナルのツーリングフラッグを購入することができます。

この「ホクレンフラッグ」を愛車にくくりつけて走るのが、夏の北海道の風物詩にもなっているので、ホクレンスタンドで給油した際は、忘れずにツーリングフラッグを手に入れておきましょう。

野生動物との接触は絶対に避ける

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夏の北海道をバイクで走っていると、可愛い野生動物に遭遇する機会が多いです。しかし、どんなに可愛くても、決して野生動物に近寄ったり、ましてや触れたりしてはいけません。

例えば、キタキツネには、エキノコックスという寄生虫が住み着いていることがあり、万が一にも人間の体内に侵入されると、深刻な肝機能障害を起こす可能性があります。

また、野生動物の多くは、人間が一度でも餌をあげると、野生の感覚を失い、決してよくない結末が待ち構えています。

北海道の可愛い野生動物を守るためにも、雄大な自然の生態系を守るためにも、野生動物を見かけたら、暖かい眼差しで見守るだけにしておきましょう。

もちろ、ん写真を撮る際はフラッシュ撮影はNGです。

バイク乗りの夏の一大イベント 北海道はバイク乗りにとって特別な場所

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北海道ツーリング、それはバイク乗りの憧れであり、誰もが一度は思い描く夢です。

愛車にキャンプ道具を積んで、フェリーに揺られ、北の大地にたどり着いたその瞬間から、あなたと愛車の一夏の大冒険が始まるのです。

北海道とは、バイク乗りにとって特別な場所であり、心から楽しめる場所なのです。

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