ジェフリー・ディーヴァーのおすすめ小説10選!発想力と勢いで物語を騙すその魅力とは!

海外文学が誇るミステリー(犯罪小説・刑事小説)はたくさんありますが、日本に入ってくるものは比較的古いもの、古典に近い名作が主流となっています。

しかし当然ながら現代でも魅力的なミステリーは海外でたくさん出版されていて、新スタイルが続々と展開されているのです。

そんな現代ミステリーのなかで特にその名が知られているのが、アメリカの作家「ジェフリー・ディーヴァー」でしょう。

ミステリー小説の常識を発想で覆し、新感覚の物語とキャラクターを確立している作者の本は、多くの人におすすめできるのです。

今回はそんなジェフリー・ディーヴァーのおすすめ作品を10冊、まとめて紹介していきます。

海外ミステリーに興味があるのなら、ジェフリー・ディーヴァーはこの機会にぜひチェックしておきましょう。

ジェフリー・ディーヴァーとはどんな小説家?

ジェフリー・ディーヴァーのおすすめ小説10選

現代の名作ミステリーシリーズといえばこの人!

1988年より作家として活動をしているジェフリー・ディーヴァーは、多くのミステリー作品を世に出しているアメリカの大物作家です。

サスペンス・ミステリー小説が中心で、日本でも複数の単発小説とシリーズ小説が翻訳されています。

雑誌記者や弁護士として働いた経歴を持ち、その後40歳から専属の小説家として活動を開始したとのこと。

読者を驚かせる展開とまったく新しい謎を作りだすための設定が魅力で、一冊一冊の密度が高い小説ばかりです。

特に発想とそこからの転換が素晴らしく、物語を先読みするのはかなり難しいと思われます。

しかし基本的にスラスラ読める明快な文章となっているため、ストレスなく物語の全体像を楽しめるでしょう。

ミステリーと普段は関わらない人にもおすすめできる小説家であり、ジェフリー・ディーヴァーをきっかけに海外小説にチャレンジすることも可能ですね。

シリーズ化されているので読みやすい

ジェフリー・ディーヴァーの小説は、長期シリーズ化されているものが特に人気となっています。

そのためハマることができたなら、そのままシリーズを通読していくこともできるでしょう。

キャラクターの関係性や成長、その他さまざまな変化を楽しめるのがシリーズ作品の特徴です。

それは一冊で完結してしまう小説にはない感情を生み出すきっかけになるので、ジェフリー・ディーヴァーからシリーズものの魅力を味わってみるのもおすすめされます。

なかでも刑事ミステリーはそこで活躍するキャラクターに魅力がある(シャーロック・ホームズやエルキュール・ポアロが代表的な例ですね)ため、ずっとその人の言動を見たいと思わせる構成となっているものです。

ジェフリー・ディーヴァーもその点をしっかりと抑えた魅力的なキャラクターをシリーズの中心に添えているので、きっとたくさんの小説を読むきっかけが得られるでしょう。

ジェフリー・ディーヴァーのおすすめ小説10選!

ボーン・コレクター

「リンカーン・ライム」を主人公としたシリーズの一発目であり、ジェフリー・ディーヴァーの代表作として知られているのが、この「ボーン・コレクター」です。

映画が日本でもヒットしたため、名前だけなら知っている人も多い小説だと思います。

蓄積された作者のノウハウと小説的技法が見事にかみ合った傑作になっているので、ジェフリー・ディーヴァーへの第一歩としておすすめです。

この作品の魅力は何といっても、主人公リンカーン・ライムの境遇です。

元刑事だったリンカーン・ライムは、ある事件で首から下がほとんどマヒしてしまい、四肢を動かすことができません。

当然現職の刑事として活動することは難しく、死への願望を持ちながら生きることになった彼は、とてもミステリー小説の主役にふさわしいとは思われないでしょう。

しかしジェフリー・ディーヴァーはこの境遇を活かして、リンカーン・ライムにしかできない謎の解き方を書き切っています。

体は動かないが洞察力や直観力、そして科学捜査への知識は申し分ないリンカーン・ライムが、頭脳で犯人に迫っていくのは痛快です。

物語に動きがないのでは?という疑問も、科学捜査のシーンと相棒となる元モデルのアメリア・サックス他仲間たちの働きで、まったく心配いらないものとなっています。

さまざまなキャラクターが物語を牽引してくれるので、むしろリンカーン・ライムの特性が周囲を上手く動かす歯車として機能しているのでしょう。

そしてボーン・コレクターという小説を盛り上げてくれるのが、犯人の異常性です。

犯人に多くの謎と狂気があるからこそ、最後まで物語はダレることなく、緊張感を持って読者を引っ張っていってくれるでしょう。

ちなみにこの本を「読破」することが、主人公であるリンカーン・ライムを知り、そして好きになる条件だと思われます。

この先のシリーズにつなげるためにも、ボーン・コレクター特に読んでおきたい小説ですね。

ウォッチメイカー

リンカーン・ライムシリーズの7作目、「ウォッチメイカー」もおすすめの小説です。

作者が「ホームズに対してのモリアーティ教授のような立ち位置だ」と話す今作の犯人ウォッチメイカーは、リンカーン・ライムにとっての宿敵として描かれます。

ライムたちどころか読者をも出し抜くウォッチメイカーは、まさにシリーズ最強の敵として認識されることになるでしょう。

私が初めてジェフリー・ディーヴァーの小説に出会ったとき、「ジェットコースターミステリー」という言葉で宣伝がされていましたが、このウォッチメイカーは本当にその言葉通りジェットコースターのような展開でした。

二転三転どころではない、方向感覚がわからなくなるほどの怒涛の展開は、とにかく面白いの一言ですね。

伏線回収というミステリーの基本がばっちりと活かされているので、ウォッチメイカーからミステリーの魅力を知ることができるでしょう。

重要キャラが登場するシリーズの転機でもあるため、ライムシリーズを読むのなら間違いなく押さえておきたい本ですね。

スキン・コレクター

リンカーン・ライムシリーズの11作目であり、ボーン・コレクターを彷彿とさせるタイトルと展開が特徴の「スキン・コレクター」も、シリーズのなかでは特におすすめの小説です。

毒で死体に刺青を作る謎の連続殺人犯、犯人が残したのはかつてライムたちが解決したボーン・コレクターの書類。

ボーン・コレクター事件を想像させるような犯人の目的とは……という、ファンならぜひ読みたいあらすじとなっています。

シリーズの面白さを凝縮した集大成のような本になっているので、この本を目標にライムシリーズを読んでいくことがおすすめです。

どんでん返しがやってくるのはわかっているのに、予想しきれないのは本当に悔しくなります。

でもその読者の想像をひらりとかわし続ける構成力があるからこそ、ジェフリー・ディーヴァーを読むことは止められないんですよね。

物語の冒頭を考えるに、シリーズ9作目の「バーニング・ワイヤー」も読んでおいた方がいいとは思いますが、全部を読まないのであればボーン・コレクター⇒ウォッチメイカー⇒スキン・コレクターの順番が一番しっくりくるでしょう。

スリーピング・ドール

リンカーン・ライムシリーズで人気のキャラクター「キャサリン・ダンス」を主人公としたスピンオフ、「スリーピング・ドール」もとても面白い小説です。

「ウォッチメイカー」から登場した尋問のスペシャリストであるキャサリン・ダンスが、ライムとはまたちがったスタイルで捜査をしていくのが本作の特徴。

人間心理を巧みに読み取るキネシクスの専門家という主人公の性質が、小説を独特な雰囲気に飾ってくれています。

ミステリーというよりもサスペンス要素が強く、洗脳などの手口を論理的に解説する展開も面白いです。

人間嘘発見器キャサリン・ダンスと犯人の頭脳戦を経て、どんどん加速していく物語からは、ジェフリー・ディーヴァーらしい衝撃を体験できるでしょう。

本作「スリーピング・ドール」を第一弾として、「ロードサイド・クロス」「シャドウ・ストーカー」「煽動者」とキャサリン・ダンスシリーズは続いていきます。

そのまま読み進めて、キャサリン・ダンスの魅力にハマっていくのもおすすめです。

汚れた街のシンデレラ

ジェフリー・ディーヴァーのデビュー作である「VooDoo」は残念ながら日本語翻訳されていませんが、同時期に執筆された「Manhattan is My Beat」は「汚れた街のシンデレラ」という邦題で出版されています。

軽快に動き回る女性主人公「ルーン」が殺人事件を発見し、レンタルビデオ店のB級ビデオを頼りに犯人を追い詰めるストーリーからは、かなり強引で粗削りな印象を受けるでしょう。

というのも主人公であるルーンの性格と若さが勢いに振り切っているので、やや読者を置いてけぼりにしている感じが否めないのです。

しかしそのキャラクターを書く筆力と真相に近づくまでのどんでん返しのスタイルは既にあり、後半は特にスピード感たっぷりに読み進めることができます。

ルーンを好きになれるようならきっと面白い本になると思うので、ジェフリー・ディーヴァーの経歴を知るつもりでとりあえず読んでみるのもおすすめです。

翻訳ではさらに2作目の「死の開幕」が刊行されている(シリーズラストの3作目はまだみたいですね)ため、ルーンシリーズとしてチェックするのもいいでしょう。

限界点

プロのボディガードとしての役割をまっとうする警護官「コルティ」を主役とした新ストーリー「限界点」も、ジェフリー・ディーヴァーらしい小説となっています。

殺し屋(調べ屋)との死闘を彩るゲーム理論は個人的に面白く、主人公の雰囲気もいい感じ。

テンポ良くピンチがやってくるため緊張感は持続し、さらにアクション要素が読書を盛り上げてくれます。

もちろんミステリーもあり、敵の本当の標的や目的を探るのもこの小説の特本質です。

「新シリーズとして続いてもいいのでは?」と思うほど高い完成度となっているので、今のうちに一冊目に手を出してみるのもおすすめできます。

静寂の叫び

エンタメ作品として非常に優秀であり、ジェフリー・ディーヴァーの良さをじっくりと味わえる「静寂の叫び」も、ぜひ読んでみていただきたい本です。

3人の脱獄囚に乗っ取られたスクールバス、その後廃屋となっている工場で生徒を監禁する犯人との交渉がメインで行われる心理戦が、本作の魅力となっています。

安堵感と緊張感が交互にやってくる展開は、読み続けたい気持ちを駆り立ててくれるでしょう。

交渉術の描写や人質となっている人たちの心理描写が魅力的で、あらゆる角度から事件の詳細を確認できるのも面白いところ。

最初から最後まで一定の面白さが持続する作品なので、長編であっても楽しく読み進められるでしょう。

ただ海外サスペンスらしい嫌な描写もたびたび見られる小説であるため、その点も理解して読むことが必要です。

クリスマス・プレゼント

ジェフリー・ディーヴァーの魅力といえばどんでん返しの終盤ですが、その気持ち良さを体感するには長いページを読み続けなければなりません。

その点「クリスマス・プレゼント」のような短編集であれば、物語がくるりとひっくり返る様子を気軽に楽しめるでしょう。

16編すべての物語に驚きの結末が準備されているので、どの作品を読んでも「しまった!」とか「なるほどな!」という感覚を味わえます。

騙されないと身構えていても、意外な角度からやってくる不意打ちに、ノックアウトされることは必然です。

原題の「Twisted」という名称通りひねりにひねられた小説ばかりなので、ジェフリー・ディーヴァーらしい構成に引っ張られながら、展開の急カーブに驚いていけるでしょう。

収録作品のなかではライム刑事が登場する「クリスマス・プレゼント」の他に、「身代わり」「三角関係」「ノクターン」などがおすすめです。

ポーカー・レッスン

「クリスマス・プレゼント」と同じく、第2弾の短編集であるこちらの「ポーカー・レッスン」も、非常に高い完成度を誇る本となっています。

文章量でいえば頼りないページ数でこれだけ巧みなトリックを仕掛け、気づかれないように進行させる技は、さすがジェフリー・ディーヴァー。

職人技ともいえるこの小説技法は、作者のスタイルが好きならば読まないわけにはいかないですね。

全16編の短編はどれも魅力的ですが、「ポーカー・レッスン」「ロカールの原理」「恐怖」「生まれついての悪人」などがおすすめ。

ちなみにこちらにもお馴染みのリンカーン・ライムシリーズが入っているので、それもまた注目ポイントですね。

青い虚空

ハッカーVSハッカーという、ジェフリー・ディーヴァー作品のなかでは異色のサイバー犯罪小説「青い虚空」も、個人的におすすめしたい本となっています。

ゲーム感覚で人を殺す天才ハッカーと対峙するのは、同じく天才的な頭脳を持つハッカー「ジレット」。

騙して騙されてが続くハッカー同士のバトルはかなり熱く、それでいて興味深く読むことができます。

特にパソコンやIT技術に関する知識がなくても展開の意味はわかるようになっているので、誰にでもおすすめできる名作小説です。

技術が進歩している今でもまったく古臭くなく、むしろお話の全体が懐かしいSF風に感じられて、世界観がより強化されているように思えます。

緻密に描かれる電脳世界での追跡劇は、ジェフリー・ディーヴァーという作家の力量を改めて感じる一冊になるのではないでしょうか。

まとめ

ジェフリー・ディーヴァーはどんでん返しのスペシャリストとして、多くの作品を書いてきました。

小説を読むことの楽しさや、「騙されるという喜び」を、今一度体感するきっかけになってくれるでしょう。

「いったいどこにミスリードがあるのか」「誰が犯人だと予想させたいのか」

そういったひねくれた視点で読んでも、完全には読み切れないストーリーを提示してくるのが、ジェフリー・ディーヴァーという小説家です。

ぜひ一度作者の謎に完封負けをして、気持ちよくミステリーの余韻に浸ることがおすすめされます。

この記事を書いた人

syunkin999