農業・農作業で役立つ資格・免許の種類!就職に有利なものも!

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農業に関連する資格にはさまざまなものがありますが、無資格でも農業を行うのは可能で、実際のところ運転免許しか持っていないながら、農業をしている人はたくさんいます。

このような人の多くは自宅の敷地内で自給自足のような感じで小規模な農業をしています。

しかし、農業は単に作物を育てるだけではありません。規模が大きくなると農機が必要になりますし、作物の種類によってはハウスなどの設備が必要になってきます。

このように本格的に農業を行うためには、効率化や安全性、流通なども関連してきますので、運転免許のみというほぼ無資格な状態は現実的ではありません。

これから本格的に農業の道の進んでいこうとお考えの方は、目的に応じた資格の取得をしっかりと考えておく必要があります。

農業を効率的に行うために必要な資格

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農業で最も重要となるが“運転”に関する資格(免許)です。

農業を行う上で作物や道具などを運搬する必要があるので運転免許が必要になるほか、トラクターなどの農機で公道を走る際には大型特殊自動車運転免許を所持しておかなければなりません。

また、トレーラーなどをけん引する場合には、けん引免許も必要になってきます。

このような運転免許は、農業を行う上で欠かすことのできないものなので、優先的に取得すべきです。

運転免許

普通の乗用車を仕事用で使う人もいますが、農家のほとんどは軽トラを使っています。

軽トラには物を載せるための十分なスペースがあることから、作物はもちろんのこと、大型の道具なども運搬することができます。

家庭菜園レベルの小規模なものなら運転免許を持っていなくても農業をすることは可能ですが、それでも有るのと無いのとでは効率に雲泥の差がありますし、規模が大きくなれば必須となります。

なお、農家の必須とも言える軽トラックの多くがマニュアル車です。オートマは数が少なく、トラクターなどの農機においてもマニュアル仕様がほとんどなので、運転免許はマニュアルを取得することをおすすめします。

大型特殊自動車運転免許(農耕車限定)

主に普通の運転免許の次に取得するのが大型特殊自動車運転免許(農耕車限定)です。

この免許はトラクターやコンバイン(稲刈り機)などの農機を“公道”で運転する際に必要で、私有地のみで運転する場合には必要ありません。

しかし、農機を格納する場所と農地がある場所が離れていて、その間に公道があるというケースが一般的なので、基本的には免許を持っておく必要があると考えておきましょう。

けん引免許(農耕車限定)

コンバインなどをトレーラーに載せてトラクターでけん引する場合などでは、けん引免許が必要になります。

これも私有地で運転する場合には不要ですが、運搬の際には基本的に公道を走ることになりますので、けん引することがあれば必須の免許となります。

ただし、けん引する機会というはそれほど頻度が高くはありません。そのため、けん引免許の必要性は普通の運転免許や大型特殊自動車運転免許よりも落ちます。

免許の取得は、けん引の必要がある状況になってからでも遅くはないでしょう。

しかし、自動車学校の多くで大型特殊自動車運転免許とけん引免許をセットにしたプランを提供していて、費用が安く日数も短いので、一緒に取得するというのも一つの手です。

農業の実務に役立つ資格

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作物というのは非常に繊細で、ただ単に種を植えて水をあげれば良いというものではなく、作物にも人と同じように病気になることもありますし、土の質が成長に大きく関わるほか、天候などさまざまなことを考えながら育てていく必要があります。

このような知識は大学の講義や、農家の元で働くことでも学ぶことができ、その成果を一つの形として証明できる検定がいくつかあります。

また、農業の行っていく上で、安全などの観点から必要となる資格や、農業関連の企業に就職するのに有利な資格もあるので、本格的に農業の道に進むなら目的に応じた資格の取得を考えておきましょう。

日本農業検定

日本農業検定は、「栽培・農業全般・環境・食の重点4分野の基礎知識の習得」を目指すための検定で、一般社団法人全国農協観光協会が運営しています。

①農業にまったく知識がない方、②農業に日頃から関心があり農業の基礎的知識を学びたい方、③仕事や趣味で農業の基礎的な知識を必要とする方など、「農業初心者」に向けた検定となるので、農業のことが何も分からない人がまず受けるべきものです。

等級は上から1級、2級、3級で、合格率は公式に発表されていませんが、それほど難しくはありません。ただし、それなりに勉強する必要があるのは言わずもがなです。

合格に向けた勉強は基本的に独学となりますが、発行されているテキストで学ぶことができるので、農業について全く分からないという人は、検定を受けなくても、テキストだけ購入して勉強するのも良いかと思います。

公式ページ|日本農業検定について

日本農業技術検定

日本農業技術検定は、「農業についての知識・技能の水準を客観的に評価し、教育研修の効果を高める事を目的として」実施されている検定で、運営元は一般社団法人全国農業会議所です。

上で挙げた日本農業検定は「農業初心者」に向けた検定ですが、日本農業技術検定は①農業を学ぶ学生、②農業に従事したい人など「農業を本格的に行う人」に向けた検定となります。

検定の等級は上から1級、2級、3級があって、学科試験(筆記試験)と実技試験で構成されていますが、学科試験は誰でも受験でき、1級と2級は学科だけの受験も可能です。

難易度は高く、3級であれば合格率が60%程度で割と高率ですが、2級では15~20%、1級では5%程度しかありません。難易度が高い分、さまざまなところで有利に働く検定なので、特に農業関連の企業への就職を検討している方は、ぜひとも試験を受けておきましょう。

公式ページ|日本農業技術検定試験について

毒劇物取扱責任者

農業では作業のために毒物(農薬など)を扱わなければならない場面が出てきます。

作物を効率よく育てるために除草や病気の予防をする必要があるのですが、その際に農薬が効果を示してくれるわけです。

しかし、農薬は扱いを誤れば重大な結果を招きかねません。このことから農薬の扱いについては、毒劇物取扱責任者の資格が必要になります。

農薬管理指導士

農薬管理指導士とは、農薬の取り扱いについて指導する役割を果たすべき人を認定する資格のことです。

農薬管理指導士の資格を取得するためには、まず研修を受ける必要があるのですが、研修の受講資格として毒劇物取扱責任者の資格を持っていなければなりません。

つまりは毒劇物取扱責任者のさらに上をいく資格ということになります。

農業に従事する上では特に必要はなく、農家で持っている人はほとんどいませんが、農業では農薬を使うことが多いことから、農薬関連の資格としてピックアップしました。

ちなみに農薬管理指導士の資格を取得すると、農薬に関する知識の向上はもちろん、農薬販売業者などでのキャリアアップに繋がる可能性もあるので、農薬を主体にした仕事に就こうとお考えの方はぜひとも取得しておきましょう。

危険物取扱者(乙種第4類)

ボイラーのあるハウス内で作物を育てる場合、室内の温度管理のためにボイラーの使用で重油などの可燃物を取り扱うことになります。

可燃物は危険物に指定されているので、このようなケースでは危険物取扱者(乙種第4種)が必要です。

危険物取扱者(乙種第4種)の合格率は約30%で、難易度としては少々高いのですが、農業という分野において非常に役立つ資格なので、チャレンジする価値は大いにあります。

公式ページ|危険物取扱者について

土壌医検定

作物を育てる上で重要になるのが土です。一般的に作物の生育には、窒素やリン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウムなど、さまざまな栄養素が不可欠で、こういった養分は土から吸収しています。

健康な作物は健康な土によって育つと言っても過言ではなく、養分バランスが崩れると生育障害や連作障害などが起こってしまうために、農業には土づくりに関する知識が非常に重要となるわけです。

そんな土づくりに関する資格が土壌医検定です。等級には3級(土づくりアドバイザー)、2級(土づくりマスター)、1級(土壌医)があります。

合格率においては、3級が約50~60%、2級が約30%、1級が約20%で、簡単に取得できる資格ではありませんが、農家の人はもちろん、農業関連の仕事にも有利に働くので、農業への道を志す人は資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

公式ページ|土壌医検定とは

農業機械士

農業機械士は、農業機械に精通する者に与えられる資格です。

現在の農業ではトラクターやコンダクターなどの農機が不可欠で、規模が大きくなるほど重要度が高くなりますが、農機は使っていくほど劣化していくもので、修理が必要になることが多々あります。

壊れた際に業者に修理してもらうというのが一般的ですが、農業機械士の資格を取得できるほどに、農機の構造や機能などについての深い知識を持っていれば、ある程度自分で農機を修理することができます。

また、次々と新しい機能を備えた農機が出てきているので、農機に関する知識を深めておいて損はありません。

ちなみに、私の周りの農家の人の多くがトラクターなどの農機がとても好きです。おそらくこの記事を読んでくれている人も農機が好きな人は多いのではないでしょうか。

研修が実施されていて、研修を受けるだけでも十分実りがあるので、特に農機が好きな方は検討してみましょう。

農業簿記検定

農業に従事する上で、作物を育てるテクニックはもちろん大切ですが、しっかりと収益を出していくことも大切なスキルになります。そんな時に便利なのが農業簿記検定です。

農業簿記検定というのは、農業経営者にとって必要な税務や会計などの知識を学んで、すぐに役立たせることができる検定です。

収入保険制度の法案が成立したのを契機に、これまでよりも個々の農業者が収入を把握する必要性が増したことで、近年では農業簿記を学ぶ人が増加傾向にあるようです。

等級は3級、2級、1級がありますが、合格率は3級と2級が約50~60%、1級が約50%で、他の資格と比較すると高率になります。

なお、全ての等級において受験資格はありません。特に経営者を目指す方はぜひとも取得しておきましょう。

公式ページ|農業簿記検定とは

美味安全野菜栽培士

美味安全野菜栽培士は、さまざまな野菜栽培や食に関する幅広い知識とスキルを取得した人に与えられる資格です。

対象者は主に家庭菜園を楽しむ人で、本格的に農業に従事する人にとっては物足りない部分が多く、就職などでも特に有利になるものではありません。

しかし、野菜栽培のことを全く知らない人にとっては、農業への取っ掛かりとして非常に有益な資格となります。

難易度は易しく、通信講座を受講し課題をクリアするだけで資格が取得できます。

公式ページ|美味安全野菜栽培士とは

食や栄養に関する資格

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続いては食や栄養に関する資格です。農業に従事する上で直接的には関係しませんが、自分で育てた作物の栄養についての理解が深まったり、目利きができるようになったり、素材に合わせた調理法を習得することができれば、農業に関する枠が大きく広がります。

食や栄養に関する資格には、野菜ソムリエ、野菜コーディネーターなどがありますが、専門分野は大差なく、違いは運営元が異なる程度です。

作物を育てるだけでなく、食や栄養についての知識も深めたいという方は、このような資格の取得にチャレンジしてみましょう。

野菜ソムリエ

野菜ソムリエは、一般社団法人日本野菜ソムリエ協会が認定する民間資格です。

芸能人の間でも人気が高いことから度々テレビで取り上げられているので、おそらくほとんどの人がご存知のことでしょう。

野菜ソムリエ講座を受講することで、野菜や果物の目利き、栄養、素材に合った料理方法、盛り付け方法といった専門的な知識を学ぶことができます。

受講料が148,000円と高額になりますが、幅広い知識が身につくほか、知名度が非常に高い資格になりますので、食に関する仕事に就く場合にも有利に働きます。

公式ページ|野菜ソムリエとは

野菜コーディネーター

野菜コーディネーターは、一般社団法人ホールフード協会が認定する民間資格です。

野菜・果物の特徴や選び方、保存方法、栄養、料理方法などを通信講座で学ぶことができ、受講料は36,000円。

野菜ソムリエよりも認知度が低いので、食に関する仕事にはそれほど有利に働きません。

しかし、36,000円と良心的な受講料なので、就職は関係なく野菜・果物の知識の習得のみを身につけたいという場合に最適な資格となります。

公式ページ|野菜コーディネーターとは

農業の資格に関するまとめ

目的や使用用途は違えど、ここで紹介した資格は全て農業に役立つものばかりです。

農業に従事する上で、普通の運転免許だけでも実際のところ問題ない部分も多いですが、本格的に農業するなら、専門的な分野の資格を取得しておくのが得策です。

特に、大型特殊自動車運転免許(農耕車限定)、毒劇物取扱責任者、危険物取扱者(乙種第4類)あたりは大学などでも取得を推奨しているほどに役立ちます。

資格を持っていないと農業の幅が狭まってしまう可能性があるので、時間やお金に余裕があれば、目的に応じた資格を多く取得しておきましょう。

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