TOEICのリスニングセクションでは、難しい単語が出ず、問題もストレートなものがほとんどなので、一般的にはリーディングセクションよりも簡単です。
とはいっても、読み書きが主体となる教育を受けてきた日本人は英語の音声に慣れていないので、多くの人がリスニングに苦手意識を持っているはずです。
どのようにリスニング対策をすればよいのか分からない人も多いことでしょう。
そこで今回は、TOEICのリスニングセクションで495点(リーディングは465点)をとった筆者がおすすめする、リスニングの練習法をご紹介したいと思います!
リスニングに苦手意識を持っている人や対策のとり方が分からない人は、ぜひ参考にしてください。
TOEICリスニングの勉強でNGな練習法
まずはTOEICのリスニングにおいてしてはいけない練習法です。
個人的におすすめできないのが「英語の音声を聞き流して終わりにする」「映画や洋楽を教材として利用する」の2つです。
この2つをリスニングの練習に取り入れている方は、かなり効率が悪くなっている可能性がありますので、今すぐやめた方が良いかもしれません。
英語の音声を聞き流して終わりにする
英語のリスニングの勉強法の一つに「多聴」という、いわゆる“英語の音声をたくさん聞きなさい”といったものがあります。
もちろんこれはリスニングの勉強に非常に効果的ですが、英語の音声をただ聞き流しながら多く聴いても意味がありません。
英語の音声を聞き流すだけでは、結局のところBGMみたいになってしまって、頭に入ることなく終わってしまいます。
1時間聞き流すよりも15分集中して聴いた方が断然勉強になります。聞き流すだけの練習法を取り入れるのは絶対にやめましょう。
また、リスニングの練習の最中に、集中力が切れてしまって聞き流しているだけだなと感じたら休憩を挟み、集中できるようになってから練習するようにしましょう。
映画や洋楽を教材として利用する
一見、映画や洋楽はTOEICのリスニングに有効な勉強法と思いがちですが、個人的には効果が薄いと考えています。
というのも、映画を観ている時には最終的に映像に集中してしまいますし、洋楽においては言い回しが独特であったりリズムが通常の会話と大きく異なるからです。
楽しくリスニング力を高めたい!という気持ちは重々分かりますが、TOEICのリスニングの勉強としては適切ではありません。
英語音声で映画を観たり洋楽を聞いたりするのは、あくまで趣味の一環として行うようにしましょう。
TOEICリスニングの練習法(準備編)
TOEICのリスニングを練習する時、準備として「リエゾンを覚える」「単語・文法・リーディングの勉強と並行する」、この2つのポイントをしっかりとおさえておきましょう。
連結する単語の流れ発音(リエゾン)を覚える
リエゾンとは、単語が続いた時に前の単語の語末子音と次の単語の語頭母音が合わさって、1つの音節として発音される現象のことを言います。
|
カタカナ読み |
英語読み |
wanted to |
ウォンテッド トゥ |
ウォネットゥ |
in front of |
イン フロント オブ |
インフロンロブ |
need it |
ニード イット |
ニーディット |
たとえばwanted toであれば、一語一語を正確に読むと「ウォンテッド トゥ」となりますが、英会話では「ウォネットゥ」という感じになります。
ネイティブであれば「ウォンテッド トゥ」と発音することは非常に稀で、言いやすいように語尾と語頭を併せて滑らかに「ウォネットゥ」と発音するわけです。
英語初心者の方は、おそらくリエゾンが発生することで聞き取れないということがよくあるはずです。
TOEICに限らず、他の英語試験でも日常会話でも、当たり前にリエゾンが発生しますので、リスニングを練習する時はリエゾンを意識して聴き、一つ一つ自分のものにしていきましょう。
単語・文法・リーディングの勉強と並行する
音声といっても中身を見れば結局のところ文章で作られています。
分からない単語がある、分からない文法がある、文章を読んでも読解できない場合、音声を理解することは不可能といっても過言ではありません。
音声を理解するためには、単語・文法・文章の読解力が必要不可欠となりますので、必ずリスニングと並行して単語・文法・リーディングの勉強に取り組みましょう。
TOEICリスニングの練習法「実践編」
続いてはTOEICのリスニングで実際にどのように練習すれば良いのかについてです。
個人的に効果があった練習法が、「ディクテーション」と「シャドーイング」の2つです。この2つは巷でよく耳にする練習法ですが、おそらく万人に効果がありますので、ぜひ練習に取り入れてみてください。
ディクテーションを取り入れる
ディクテーションとは、流れる音声を聴いて書き留める練習法です。
なぜディクテーションが効果的なのかというと、音声を聴くだけよりも集中できるというのが大きな理由に挙げられます。
流れる音声を書き留めるためには、一語一語をしっかりと聴く必要があるわけですが、この時、無意識的に聴こうとする姿勢になります。その結果、自ずと音声に集中できるわけです。
また、音声のスピードに慣れていくということも、ディクテーションが効果的な理由の一つです。
初めは音声のスピードが速くて追いつきませんが、想像したり推測する力が身につくほか、1文全体を聴き取るように頭が働くことで、徐々にスピードに慣れていきます。
ディクテーションの方法
ディクテーションの方法は人によって異なるでしょうが、私の場合、以下のようなステップで練習しています。
- 1文で区切りながら音声を書き留める(5〜10回)
- テキストをみて答え合わせをする
- 分からない意味があれば調べて覚える
- 分からなかった箇所に意識して再度聴く
ディクテーションではまず1文で区切るようにします。長くなるほど難易度が高くなりますので、もし1文が長い場合には途中で区切っても問題ありません。初めは1文=10語くらいが良いかと思います。
同じ文章を聴き続けるのは非常に効果的ですが、何度聞いても分からない箇所がでてくるはずです。何度聞いても分からないのに聞き続けるとフラストレーションが溜まってしますので、個人的には1文につき5回〜10回がおすすめです。
音声を聴いて書き留める作業を5回〜10回行った後に、文章をみて答え合わせをします。間違ったところや分からなかったところチェックし、単語や文法など知らないものがあれば調べます。
そして最後にその箇所を意識的に聴きます。これも5〜10回くらいが良いと思います。1回で聴き取れたとしても、頭に定着させるために5回くらいは繰り返し聴きましょう。
このようなステップを踏んでも聞き取れないところがある場合、その時は潔く諦めて次の文に移ってください。1〜2週間後くらいに再挑戦してみましょう。
シャドーイングを取り入れる
シャドーイングとは、音声で流れる英語を追うように声に出して練習する方法です。
シャドーイングを行うことで、英語の流れるようなリズムを習得できるほか、英語の発音も身につきます。
TOEICの一般的なテスト(Listening & Reading Test)では、スピーキングが必要ありませんが、リスニングとスピーキングは連動しています。
要するに、英語をリズミカルに発声できるようになる、英語を正しく発音できるようになると、それに応じてリスニング力も高まっていくわけです。
TOEICだけでなく、英語の使うあらゆるシーンで役に立ちますので、ディクテーションとともにシャドーイングもぜひ練習に取り入れてみてください。
シャドーイングの方法
流れる音声と同時進行で発声するのが一般的な方法ですが、同時進行で発声すると自分の声で音声が聴き取りにくくなりますし、流れ作業になってしまう可能性があります。
なので、私の場合、ディクテーションと合わせる形で、1文を聴いた後に1文まるまる発声するようにしています。
- テキストを見ずに1文を聴いて1文を発声する
- この時、はっきりと発声せず口の中でつぶやくようにする
- テキストを見て分からない箇所を確認する
- テキストを見ながら1文を聴いて1文を発声する
- この時、普段の会話と同じ音量でハッキリと発音する
まずはテキストを見ずに1文を聴いて、1文全体のリズムや抑揚、発音の雰囲気を感じ取ります。(目安:5〜10回)
この段階では雰囲気を感じ取ることを目的にしているので、1語1語を正確に発声する必要はありません。口の中でつぶやく程度で発声しましょう。
これを5〜10回くらい繰り返して雰囲気を掴めば、次はテキストを見て単語や文法など分からなかったところを確認し、調べて理解します。
そして最後に、テキストを見ながら1文を聴いて、1文全体を発声する段階に移ります。(目安:5〜10回)この時は1文を文章として把握できているので、ハッキリと発音するようにしてください。
ちなみに、シャドーイングでは英語のリズムや抑揚、発音を「コピー」するのが最も大きな目的なので、モノマネ芸人になったつもりでやってみましょう。
なお、ディクテーションとシャドーイングは組み合わせても使えます。組み合わせる場合には、上記のディクテーションの方法の①〜④の後に⑤として「テキストを見ながら1文を聴いて1文を発声する」を加えて練習しましょう。
TOEICリスニングの練習法「本番編」
続いては、TOEICの本番で役立つテクニックを磨くための練習方法です。
TOEICの本番を想定して勉強する際、公式のリスニング教材がとても役立ちますが、ただ解いているだけではリスニング力が高まっても、テクニックは習得できません。
本番に役立つテクニックを磨くために大事なことは、「次の設問を先読みする」「分からない問題を後に引かない」の2つ。
勉強段階でこの2つを実践していけば、本番のリスニングセクションで1問あたりの解答スピードが上がるほか、イージーミスの減少にもつながります。
また、TOEICの本番ではメモ書きが禁止されていますので、日頃の練習から「メモをとらない」ようにしておきましょう。
次の設問を先読みする
TOEICは計120分の時間制限があります。その内訳はリスニング(Part1〜4)が45分、リーディング(Part5〜7)が75分となります。
リスニングは45分の時間制限がありますが、この問題で10分使って、この問題で15分使うというように時間配分を決めることができません。
音声はこちらの希望とは裏腹に次々と流れていきますので、おおよそ1問あたりに割く時間が決まっています。
要するに、難しい問題でも多くの時間を割くことができないわけです。特にTOEICのリスニングで難しいのがPart3とPart4なので、この2つのパートで正答率を上げなければ、高得点をとるのが難しくなります。
そこでPart3とPart4において、設問を先読みするというテクニックが重要になります。
先読みをすることのメリット
先読みをするのは設問で、音声が流れる前に設問を読むことで、以下のようなメリットが得られます。
- 難しい問題に多くの時間を割くことができる
- 会話やアナウンスなど問題の内容を推測できるようになる
- 内容の中で注目すべきポイントが分かる
難しい問題に多くの時間を割くことができるというのは、すでに上でお話しましたが、問題の内容を推測できるようになる、注目すべきポイントが分かるというのも、先読みすることのメリットになります。
内容の推測に関して言うと、たとえば設問で仕事について書かれていたら、音声の内容も仕事だろうし、仕事関連の単語もでるだろうとイメージできますよね。
このイメージ化が内容の理解を助けてくれるわけです。何も知らない状態で聴くのと推測して聴くのとでは、圧倒的に推測して聴く方が内容を理解しやすくなります。
また、設問で職業の違いについて問われていたら、職業が何なのかに意識を集中できて、その結果として正答につなげやすくなります。
Part3とPart4での先読みの練習法
先読みするのは設問が印刷されているPart3とPart4のみとなります。
方法は至って簡単で、問題を解いたらすぐに次の設問を読むだけ。これを練習して癖をつけることが大切です。
Part3とPart4はいずれも1つの音声につき3つの設問が用意されているので、必ず3つの設問すべてを読んでおくようにしましょう。
- Directions(各パートの説明)が流れたら最初の3つの設問を読む
- 3問解き終わったら、すぐに次の3つの設問を読む
- これを各パートの最後まで繰り返す
ただし、ただ設問を読むだけでは意味がありません。設問を読む際には、①内容を予想すること、②注目すべきポイントをまとめること、この2つが重要になります。
既述の例をとると、仕事に関する設問(〜work for?など)であれば音声は仕事に関する内容が含まれていると予想します。
そして、職業に関する設問([A] Veterinarian [B] Pharmacist [C] Nurse [D] Medical social workerなど)であれば、何の職業なのかを整理しておきます。
この作業を習慣づければ、たとえリスニング力が低くても正答を見つけられる可能性が高まりますので、TOEICの公式リスニング参考書などを利用する際などに、日頃から先読みを練習しておきましょう。
分からない問題を後に引かない
前述のように、TOEICのリスニングセクションでは次々と音声が流れていきます。もし、分からない問題でつまずいてしまうと、混乱して後の響いてしまいかねません。
人間の脳というのは、2つ以上の物事に同時進行で取り組むと集中力が分散され、結果的にすべての能率が下がると言われています。
「あの問題の答えはCだったかな…」というように、悩む問題が出てきたとしても振り返らずに、切り替えて次の問題に集中するように練習しましょう。
練習の段階からメモをとらないようにする
TOEICでは問題用紙にメモをとることが禁止されています。TOEICを受けたことのない人がこのことを当日に知ると、間違いなくあたふたしてしまうことでしょう。
なぜメモが禁止されているのか、公式に発表されていないので正確には分かりませんが、おそらく試験問題の漏洩やカンニングの防止を目的にしているのだと思われます。
メモをしたことが発覚すると採点されず、結果的に試験が無効となってしまいますので、練習の段階からメモをとらないようにしておきましょう。
TOEICリスニングの練習まとめ
ここで紹介した練習法は実際に私が満点をとるまでに実践してきたものです。
効果的かつ効率的な練習法なので、リスニングが苦手な人や対策のとり方が分からない人は、ぜひ一度実践してみてくださいね(^^)