【なぜ料金が安いのか】格安スマホとはどのような仕組みなのか?

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ガラケーからスマホの時代へ、通信業界はここ10年で大きく変わりました。

電話とメールがコミュニケーションの主流だった時代は終わり、LINEをはじめとする、SNSが社会のインフラになりつつあります。

そんな中、日本のスマホ普及率は7割を超え、もはやスマホがないと不便と感じるほどです。

しかし、その流れに沿うように、スマホが普及すればするほど、ユーザーの携帯電話にかける費用は増え続ける一方です。

インターネット接続が前提のスマホにおいては、通常の基本料の他に通信料がかかるからです。

その上、大手通信業社の利用料は足並みをそろえ、目立った動きもなく、ユーザーは上がり続ける通信費を払い続けるしか選択肢がありませんでした。

そんな中、大手の通信業社の半額以下の料金でスマホが使える「格安スマホ」と呼ばれるサービスが、ここ数年で急成長しています。

格安スマホは、一体なぜ料金を抑えることができるのか?どのような仕組みで成り立っているのか?何ができて何ができないのか?

この記事では、そんな格安スマホの疑問にお答えします。

大手通信業社 MNOは莫大なインフラ投資をしている

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格安スマホを理解するために、まずは大手通信業社について知っておく必要があります。

docomo、au、softbankなど、いわゆる大手の通信業社は「MNO」と呼ばれています。

MNOとは「Mobile Network Operator」の頭文字をとった単語で、端末や通信インフラ設備など、全て自社内で賄っている、旗艦通信業社のことです。

つまり、日本の携帯電話の通信網を作っているのはMNO各社であり、MNOがないと、そもそも携帯電話が使えないということです。

一般的に、携帯電話のインフラ網を構築するためには、莫大な費用と時間が必要であり、それを自社で賄っているMNO各社は、利益確保のため、料金を一定の基準以下に落とせないのです。

だからこそ、大手通信業社は思い切った値下げができず、各社足並みを揃えてしまう傾向があるのです。

日本の携帯電話のインフラは世界でもトップクラスであり、これほど早く何処でも繋がる国は滅多にありません。

そう考えると、MNOの料金が高いのは当然であり、品質の高いサービスを提供しているからこその価格と言えるのです。

格安スマホとはMNOの設備を借りているMVNOである

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莫大な投資をして、自社で通信インフラを作り上げるのがMNOですが、そのインフラを借り受けた上で、通信サービスを提供しているのが「MVNO」です。

MVNOとは「Mobile Virtual Network Operator」の略称で、「Virtual」つまり、自前の通信インフラを持たずに、MNOの通信インフラを借り受けて営業している通信業者のことです。

MVNOは、自社で通信インフラを用意する必要がないので、通信事業への参入障壁が低いことが特徴です。

端末の調達に関しても、MNOのように自社や端末メーカーとの共同開発ではなく、既にある端末を流用していている場合がほとんどなので、こちらもコスト的にかなり負担が減ります。

そのため、MNOより利用料金を安く設定することが可能で、つまり「格安スマホとはMVNOのこと」なのです。

自社で端末からインフラまで、全てを賄う必要がないため、格安スマホは安く使えるのです。

格安スマホ(MVNO)は大手3社(MNO)のいずれかのインフラを借りている

MVNOは、MNOの通信インフラを借り受けている会社です。

すなわち「docomo、au、softbank」この3社のいずれかの通信インフラを必ず借り受けています。

その中で最も数が多いのは、docomoの回線を借り受けているMVNOで、家電量販店の格安スマホコーナーに行くと「docomoと同じエリアで使えます」という表記が目立つのは、そのためです。

実際、日本で初めてMVNOをはじめたとされる「日本通信のb-mobile」というサービスは、docomoの回線を借り受けているMVNOです。

次に多いのは、auの回線を借り受けたMVNOで、ここ数年で一気に増えた感があります。最近テレビや雑誌などで頻繁に宣伝されている「UQ mobile」も、auのMVNOサービスの一つです。

最後に、softbankのMVNOは、2017年にようやく「日本通信」がリリースし、これから徐々に増えていくことでしょう。

格安スマホ(MVNO)と大手3社(MNO)の関係

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docomo、au、softbankの3社のMNOは、自社の通信インフラを使い、制限なく通信サービスを使うことが可能です。

反対にMVNO各社は、自社の通信インフラではないため、サービスが使える幅に制限があります。

では仮に、docomo系のMVNOの全てのサービスが、制限なくサービスを使えてしまったらどうなるでしょうか?

おそらく、本来のdocomo回線を圧迫して、docomoユーザーの通信に影響が出てしまいます。

当然、それはdocomoとしては本末転倒なので、MVNOの通信サービスの利用には、MNO側で一定の制限をかけています。

具体的には通信速度や通信量、時間帯における接続率などです。

一般的にMVNOは、朝の通勤時間や、夕方の帰宅ラッシュ時の通信速度が遅くなりがちですが、これはMNO側も通信量が増える時間帯なので、その影響をMVNOが受けるからです。

このように、MVOとMVNOの関係は、ある種の親子関係のようなものが当てはまります。

格安スマホ(MVNO)と大手3社(MNO)どちらがおすすめなのか?

MNOとMVNOの違いがわかったところで、結局どちらがオススメのなのか?

具体的な例をもとに、各々にマッチするユーザーと、マッチしないユーザーを解説していきます。

回線品質を重視するのか料金を重視するのか?

MVOとMVNO、双方を検討する際に最も重要な項目が「回線品質を重視するのか、料金を重視するのか」です。

当然のことながら、いつも快適に、何処でも早い速度で通信をしたいユーザーは、MVOの一択となります。

MNOは自社の通信インフラを最大限活用出来るので、常に高品質な通信サービスを提供してくれると同時に、それに見合った料金も必要です。

つまり、回線品質にはこだわらない代わりに、料金を安くしたいユーザには、MVNOがオススメと言えます。

店舗窓口での契約なのか?オンライン上での契約なのか?

現状MNOの契約のほとんどは、実店舗での対面契約です。家電量販店や携帯ショップなど、MNOは取り扱い店舗が非常に多いので、特に困ることはないでしょう。

対して、MVNOの契約はオンライン完結型であり、各社のHPからネット上で申し込むスタイルが主流です。

現在、家電量販店では多くのMVNOを扱っていますが、そのまま店舗で契約できるのは、実は一部のMVNOのみです。

MVNOの多くは、家電量販店で「パッケージ」呼ばれる、オンライン契約時の識別番号を販売しているのです。

以上の観点から、契約上の不明点が多く、店員と対面で話しながら契約したいユーザーはMNO、ある程度の知識があり、オンライン上での契約でも問題がないユーザーはMVNOが向いています。

サポート窓口の広さは圧倒的にMNOが優位

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MNOで各種サポート受ける際は、携帯ショップやコールセンターなど、全国規模の幅広い窓口でサポートを受けることができます。

対してMVNOは、店舗を持たないオンライン完結側のサービスが多い都合上、ほとんどの場合ショップのような窓口はなく、仮にあったとしても数店舗のみです(主に首都圏)

コールセンターに関して言えば、仮に設けていても、MNOのような大規模なものではありません。

したがって、手厚いサポートを求めるユーザーはMNO、簡単なことは自分で解決するというスタンスのユーザーは、MVNOでも問題ないと言えます。

端末とセットで契約するか端末を自前で調達するか

原則、MNOでは回線契約と端末購入がセットになっています。

逆に言えば端末を自前で調達する必要がなく、すぐに通信サービスを使い始めることができます。

さらに、多くの場合は通信料と端末代金が一緒に請求されるので、請求の一本化という意味でもMNOはオススメです。

それに対してMVNOは、回線契約と端末購入が分離しており、どちらか一方だけでも契約が可能です。

つまり、すでに端末を持っている場合や、自身で別な場所で調達する場合は、MVNOの方が都合がいいと言えます。

しかし、最近では端末のセット販売をするMVNOも増えており、端末の調達という面では両者の差はなくなってきていると言えます。

MVNOは契約期間や解約違約金がMNOより柔軟な場合が多い

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一般的にMNOでは、2年間での回線契約が前提となっています。

これが俗にいう「2年縛り」というもので、2年間以内の回線の解約に関しては、1万円前後の解約違約金が発生します。

対して、MVNOの契約期間は1年前後、または最低利用期間なしというサービスもあります。

さらには、解約違約自体がそもそもMNOより安い場合が多く、通信サービスの利用期間によって減額される場合がほとんどです。

したがって、契約期間や違約金に関する面では、MVNOの方がユーザーに優しいと言えます。

格安スマホのまとめ

格安スマホとは、大手通信業社の回線を借り受けている、MVNOという業種のサービスです。

回線を借り受けているが故に料金は安くなりますが、借り受けているがゆえに不便なポイントがあるのも、また事実です。

大切なのは、きちんと両者の正しい情報を知った上で、自分に合ったサービスを選ぶことです。

知っているか知らないか、通信業界ではこの差が大きな差となります。

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