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短編小説の魅力とおすすめまとめ!短いからこその感動がある!

小説では長い文章ばかりではなく、数ページから数十ページで完結するような「短編」も立派な作品として扱われます。

「短いから適当に書かれている」「長編と比べて面白い作品が少ない」といったイメージはまったくの誤解であり、むしろ短編だから輝く小説はたくさんあるのです。

それを証明するためにこちらでは面白い短編小説のおすすめを10選にまとめてご紹介しますので、この機に改めて短いページに凝縮された物語を楽しんでみてはいかがでしょうか。

サクッと短時間で読める点も魅力であるため、小説を読み始めたばかりの人にもお楽しみいただけると思います。

短編小説のおすすめ作品10選!

短編小説のおすすめ作品10選

1ドルの価値/賢者の贈り物/オー・ヘンリー

1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編 (光文社古典新訳文庫)

短編作家としておすすめしないわけにはいかないのが、アメリカの小説家「オー・ヘンリー」です。

その彼が書いた小説が23編収められている光文社古典新訳文庫の短編集「1ドルの価値/賢者の贈り物」は、特に今読んでおきたいクオリティを持った文庫本となっています。

隙間なく組み込まれた言葉は詩的でありながら、たくさんの教訓や新しい考え方を提示してくれるように感じるでしょう。

短編小説ならではのお手本のような構成とオチがあらゆる形で見られるので、まず最初にオー・ヘンリーを読んでおけば他の作家の作品もより純粋に楽しめると思われます。

表題作の「賢者の贈り物」はもちろん、「最後の一葉」や「甦った改心」など、多くの物語の根底として扱われている作品がたくさんあるのも特徴。

時代を超えて面白いと思える小説が寄り添っている短編集である本作を、ぜひ読書の予定に入れておいてください。

1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編 (光文社古典新訳文庫)

1ドルの価値/賢者の贈り物 他21編 (光文社古典新訳文庫)

ようこそ地球さん/星新一

ようこそ地球さん (新潮文庫)

短編小説、よりもさらに短いショート・ショートの分野で国内最高峰の知名度を誇る「星新一」も、読めば読むほど短い文章のなかに面白さを見出せる作家となっています。

個人的には特に新潮社から出ている「ようこそ地球さん」の文庫本がおすすめできるので、この機にチェックしてみてはいかがでしょうか。

ユニークな設定にブラックを含んだユーモア、そしていきなり目の前にやってくる物語の終焉は、本当に癖になるものばかりとなっています。

SF作品が基本ですが、そのどれもが私たちの生活につながっているように感じるので、読後はふと物語について深く考えたくなってしまうかもしれません。

収録されている「処刑」「殉教」「開拓者たち」などの名作は色あせない短編として名高いため、これだけでもようこそ地球さんは読む価値があります。

淡々と進む文章のなかで生まれていく物語のあらゆる「変化」が、読後の自分にまで影響してくるような感覚は圧巻。

その他にも安定して面白い短編だらけなので、気の向くままにピックアップして読んでみることをおすすめします。

ようこそ地球さん (新潮文庫)

ようこそ地球さん (新潮文庫)

箱庭図書館/乙一

箱庭図書館 (集英社文庫)

素人のアイデアをプロである作家「乙一」がリファインした短編集「箱庭図書館」は、実験的な内容でありながら単純に面白い本として成り立っているのがすごいところ。

短編小説はアイデアやインパクトが大事であるということはよく言われますが、それと同時に読ませる文章力やテンポが重要なことも教えてくれる教科書的な本となっています。

別の人たちが作ったアイデアをひとつの本にまとめ上げるだけでも大変なのに、そこにちょっとした関連性を加えた上に、それぞれの物語のカラーを変えているのが本作の魅力です。

作者の乙一らしさがありつつ、乙一だけでは完成しなかったであろう作品群は、ファンはもちろん良作の短編を読みたい人にもおすすめできます。

特に「ホワイト・ステップ」は傑作だと思うので、短編だから描くことができた儚い物語に注目してみてください。

ちなみに乙一が書いた短編「夏と花火と私の死体」も名作ホラー小説となっているので、箱庭図書館を読む前後にでも手に取ってみてはいかがでしょうか。

箱庭図書館 (集英社文庫)

箱庭図書館 (集英社文庫)

東京奇譚集/村上春樹

東京奇譚集 (新潮文庫)

長編作品にその注目が集まりやすい「村上春樹」は、しっかりと短編でもその物語の深度を体感させてくれます。

なかでも「東京奇譚集」は、読みやすさとそれぞれのストーリーのふり幅が合わさって、作者の代表的な短編集になるのではないでしょうか。

息子を失った母親がハワイで再生を果たす「ハナレイ・ベイ」、消失を探求する「どこであれそれが見つかりそうな場所で」などは、純文学としてひとつの完成に値するのではとさえ思えます。

三人称視点でまっすぐと物語の核心に進んでいくような文章も、短編ならではの潔さのようなものを感じさせてくれるでしょう。

主観でその人の生活を丁寧に書くような長編小説だけでなく、「東京奇譚集」のようにたまたまそこで見つけた不思議な物語を掬い取った短編小説も、村上春樹の魅力となります。

程よい長さにおさまったこれらの物語は、きっと村上春樹のイメージと短編集の面白さを再評価させてくれるでしょう。

東京奇譚集 (新潮文庫)

東京奇譚集 (新潮文庫)

掌の小説/川端康成

掌の小説 (新潮文庫)

掌のなかに収まってしまいそうな小説たち、しかしそのすべてがたしかな重さを持ってこころに残る名作短編集「掌の小説」は、川端康成の良さをわかりやすくまとめてくれた1冊と評して問題はないでしょう。

収録されている作品数はまさかの122編、そのどれもが川端文学の血を受け継いでいるため、読んでいてとにかく日本語的な美しさを感じることができます。

「物語を読む」というよりも、「物語を構成している文章を観る」という気持ちでいると、よりこの短編集の良さがわかることでしょう。

「雪国」の冒頭が代表であるように、川端康成はわずかな文章だけで小説を完成させることができる作家です。

掌の小説はそういった美しさを凝縮した文章の大群であるため、どのページをめくってみても感銘を受ける言葉に出会えるチャンスがあるでしょう。

この短編集に関しては、頭から順に読み進める必要はまったくありません。

むしろ何も考えずに適当なページを開き、そのまま気の向くままに読書してみることをおすすめします。

小説のなかに素敵な文章を見つけたら、どこかにメモしておくのもいいですね。(私もよくやってますが)

それは生活のなかでちょっとしたときに輝く、大切な言葉になってくれるかもしれませんよ。

掌の小説 (新潮文庫)

掌の小説 (新潮文庫)

妙なる技の乙女たち/小川 一水

([お]6-1)妙なる技の乙女たち (ポプラ文庫)

舞台は2050年、軌道エレベーターと共に宇宙産業を成功させた都市リンガを中心に、さまざまな生き方を実践する女性たちを書いた連作短編集が「妙なる技の乙女たち」です。

私はオリジナルの法則が動く世界の上でキャラクターたちが生活する物語が大好物なのですが、この短編小説たちは特にSFとして、そして女性主人公たちの生き様を感じられる名作として、特におすすめしたい作品となっています。

全員が物語の主軸になるのではなく、それぞれの仕事や生活のなかで、等身大の状態で悩みながら成長していくのが本作の魅力です。

宇宙服をデザインする過程を描いた「天井のデザイナー」、宇宙船の船主像を造る芸術家の話「あなたに捧げる、この腕を」、あらゆる国籍の子どもたちを預かる保育士にフォーカスした「セハット・デイケア保育日誌」など、書かれている範囲はとにかく広い。

SFの世界で生きる人たちにはどのような仕事があり、そしてどのような問題と戦っていくのかを知る、夢のあるフィクションだといえるでしょう。

未来のキャリアウーマンを書いているようで、同時に現代の働き方にも言及しているような内容は、読む側の性別に関わらず面白いと唸らせてくれます。

SFや軌道エレベータ―の設定に興味がなくても読みやすい話ばかりなので、単純に良質な短編集として楽しんでみることをおすすめしたいです。

([お]6-1)妙なる技の乙女たち (ポプラ文庫)

([お]6-1)妙なる技の乙女たち (ポプラ文庫)

カフカ短篇集/フランツ・カフカ

カフカ傑作短篇集 (福武文庫―海外文学シリーズ)

「城」や「審判」などの長編を書いた「フランツ・カフカ」ですが、やっぱり彼の魅力は魂をそのまま叩きつけたような短編にあるのではと私は思っています。

そして現代では岩波文庫が出している「カフカ短篇集」こそが、カフカの良さを極限まで引き出した珠玉の1冊と言えるのではないでしょうか。

「掟の門」「流刑地にて」「橋」などは、繰り返し読むことを身体が指示するような求心力があります。

本棚に置いておくと、ずっと読み続けられる財産になってくれるかもしれませんね。

カフカの短編は基本的に難解であり、ときには「意味不明」と感じることも少なくありません。(短編に限りませんが)

しかし短編なので何度でも読み返すことは難しくなく、いつか自分なりの解釈までこぎつけることは可能でしょう。

カフカが残した短編にどんな意味を見つけることができるのか、ぜひこの機に試してみることをおすすめします。

カフカ傑作短篇集 (福武文庫―海外文学シリーズ)

カフカ傑作短篇集 (福武文庫―海外文学シリーズ)

異邦人/カミュ

異邦人 (新潮文庫)

短編と呼ぶにはあまりに文章の密度が高すぎるきらいがありますが、「異邦人」は文学において非常に重要な位置づけを持つ小説であり、「アルベール・カミュ」のなかでも特におすすめしたい作品となっています。

母親の葬儀という出来事からそれほど時間が経たないうちに、主人公であるムルソーが行った数々の行動。

それらは奇行であると同時に日常でもあることから、読者の常識を揺らがせ混乱させることにつながります。

何がおかしいのか、何が正しいのか、生から死へと着実に進んでいく物語からは色々なことが学べるでしょう。

異邦人を読むと、いかに私たちの生活が不条理の上に成り立っているのか、そして本当に些細な事だけで常識が非常識に転落してしまう可能性があることに恐ろしさを感じます。

またこの本はある種の「人間の自由」を書いている小説でもあると思うので、哲学的に文章を解きほぐすこともできるのではないでしょうか。

短い物語のなかからしっかりとした核を手にしたいときには、異邦人のような重圧を持った小説を読むこともおすすめです。

異邦人 (新潮文庫)

異邦人 (新潮文庫)

老人と海/ヘミングウェイ

老人と海 (新潮文庫)

小説という技法を通して「人生」を描写することは、決して珍しくありません。

しかし「アーネスト・ヘミングウェイ」が残した古典「老人と海」ほど、そのスケールを正確に文章化した作品は少ないのではないでしょうか。

この小説に登場するあらゆるものは、自分自身の人生に存在するあらゆるものへとストレートに置き換えることができます。

老人、少年、ヤンキース、砂浜のライオン、鰯、網、小鳥、そしてカジキマグロ。

これら小説のなかで書かれているすべてのものは、多くの人の人生にも別の姿で登場するように感じられるのです。

この小説の面白さはただ単純にストーリーの表面をなぞるのではなく、そのページに書かれているものの意味をとことんまで追求してみることにあります。

「老人が船の上で頑張る話」という要約で納得することのないように、ぜひ書かれている色々な描写を自分の生活とリンクさせてみることがおすすめです。

短編というスタイルだからこそ実現したこの濃度は、アメリカ小説における伝説としてこれからも語り継がれることでしょう。

老人と海 (新潮文庫)

老人と海 (新潮文庫)

夜間飛行/サン=テグジュペリ

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

個人的に短編小説のなかで1番の傑作だと考えているのが、「夜間飛行」です。

「星の王子さま」で知られる「サン=テグジュペリ」が書いたパイロットたちと夜間郵便飛行会社の社長リヴィエールの物語は、現代においてもまったく色褪せる気配を見せません。

夜間飛行という当時は不可能に思えた事業に挑戦し、空と地上で戦い続ける人間たちの姿は、恥かしいくらいの勇気を与えてくれます。

実際に飛行機で飛んでいる人、フライトを終えてこれから休息につく人、これから闇のなかへ飛行を開始する人、さまざまな立場にいる人間が短編のなかで生きていることが、立体的な空気を小説のなかに作り出しているのです。

ただリアルなだけではなく、ひとつの普遍的な世界が形成されている点が、夜間飛行を名作へと押し上げているのでしょう。

この小説で書かれている「挑戦」やそれへの「犠牲」は、これからも人間の進歩に求められるのではと考えてしまいます。

「ひとり」ではなく「ひとつ」の人間という生き様を見事に形にした最高の短編であると思うので、意味のある読書を求める人にはぜひおすすめしたいです。

光文社古典新訳文庫版はかなり読みやすくなっているため、海外古典に不慣れでも楽しめることでしょう。

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: アントワーヌ・ドサン=テグジュペリ,Antoine de Saint‐Exup´ery,二木麻里
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/07/08
  • メディア: 文庫
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要するに短編小説の魅力とは?

すぐに「答え」と出会える

短編小説は全体の文章量が短く設定されているため、すぐに結末やその物語が言いたいことにたどり着くことができます。

小説の「答え」に出会えるまでのスピード感こそ、短編作品の魅力だといえるでしょう。

主人公がこれからどうなるのか、どんなオチでページを終わらせるのか、そういったワクワクが冷めてしまう前に実際に目にすることができるのは短編小説の利点です。

最後まで読み切るのが難しいという作品は少ないので、読書を始めたばかりの人にも安心しておすすめできますね。

一方で短編ならではの「これで終わり?」という感覚や、「もっと長く読みたかった……」という物足りなさとどう折り合いをつけるのかもポイント。

なので短編を読むときはパパッと文章をなぞるのではなく、長編を楽しむとき以上にじっくりと一文字ずつ噛みしめるように読み進めていくといいでしょう。

「行間を読む」ことが求められる短編もままあるので、自分なりの色々な工夫をしてみるのもおすすめです。

「短編集」という1冊の魅力

短編はそれ単体で本として成立している場合もありますが、なかには短編集として1冊の本になっているものも多くあります。

その作者のアイデアを複数の短編で読めるという点は、読書における大きな魅力となることでしょう。

読む側にも当然好みがあるため、有名な作品でも自分には合わなかったということも小説にはきっとあります。

長編の場合はそこで終わりとなりますが、短編集であればすぐに次の作品に挑戦できるので、自分が面白いと感じる作品に出合う確率は高まるでしょう。

「自分に合った面白い本」に出会うということは重要で、その後も読書を続けられるかどうかに大きく関わってきます。

短編集はそんな読書におけるモチベーションの源泉となり得るため、定期的にチェックして自分に合う小説を探してみることがおすすめです。

繰り返し読むことが可能

1度読み終えた小説を再び手に取るには、それなりのエネルギーを要します。

最高に面白かったと感じた作品であっても、繰り返し読むに至るまではいかないということも多々あるでしょう。

しかし短編であれば、そんな繰り返し読むことに対するハードルは低くなります。

既に内容を把握しているのであれば読むスピードは速くなるため、わずかな時間でも読み終えることができるでしょう。

小説を繰り返し読むことは、新しい発見や別の考え方を見つけるきっかけになるので、本当に気に入った本は何度でも読み返すことが理想となります。

短編小説はそういったきっかけをつかむ練習として最適であるため、繰り返しの読書を習慣化したい人にこそまずは短い物語をおすすめしたいですね。

まとめ

かつての私もそうですが、短編小説という作品はどこかライトで軽めなイメージがあるように感じていました。

しかし実際にはそんなことはなく、小説を上手に表現するために選択するひとつの魅力的なスタイルとなっているのです。

特に読みやすさという点は長編小説と比べても大きなメリットであるため、毎日サクサクと読みたい人はこの機に短編小説集を1冊キープしておくことをおすすめします。

この記事を書いた人

syunkin
ガジェット、書籍、仮想通貨などを専門に執筆しているフリーライターです。新しい情報を読む楽しさを、少しでも提供できたらうれしく思います。
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