TOEICスコア730点というのは、公式で一つの区切りにされている得点ですが、実は730点が社会で英語を武器にできる最低ラインであることをご存知でしょうか?
実際に多くの企業が730点を採用要件の一つに挙げていますし、730点を英語試験の免除や出願要件の一部にしている大学も多数あります。
このように730点は多くの場面で活用されているので、TOEIC受験者にとって一つの目標点になっているのです。
730点とはどのようなレベルなのか、社会でどのように活用されているのか?その詳細に加えて、到達するための勉強法をご紹介します!
TOEICスコア730点のレベル
まずはTOEICのスコア別の一般的な英語能力レベルについてお話します。
TOEICはリスニング(Part1〜4)、リーディングの(Part5〜7)の2つのセクションに分かれていて、それぞれ495点満点となります。合計すると最高スコアは990点です。
そしてTOEICの運営元である国際ビジネスコミュニケーション協会の資料によると、英語能力レベルを大まかに860点、730点、470点、220点を一つの区切りにしています。
スコア730点はレベルBに属し、「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。」というのが同協会の考えになります。初級・中級・上級という枠組みでは、上級の入口と考えて良いでしょう。
英会話でのコミュニケーションレベル
730点ほどのスコアがあれば、一般的にはネイティブと不自由なく意思疎通ができるレベルと考えて差し支えありません。
ただし、日本人はリスニングやスピーキングよりもリーディングやライティングの方が得意な傾向が強いので、730点取っていても英語での会話がままならないという人は少なくないでしょう。
特にスピーキングが苦手という人が多いように感じます。実際に私の周りにも730点を超えている人は何人もいますが、英語を聴くことができても上手く話せないという人が大半を占めています。
英検など他の英語試験・資格とのレベル比較
大学受験や就職などにおいて、日本ではTOEICと並んで英検もよく活用されます。
ほかにもTOEFLやIELTSなどさまざまな英語試験・資格がありますが、TOEICのスコアと他の英語試験・資格を比べると、どのレベルに当たるのでしょうか。
上表は、文部科学省が各試験団体の公表資料を用いて作成した対照表になります。
TOEIC730点レベルとの比較は、英検が「2級〜準1級」、TOEFL IBTが「85〜90点」程度になるでしょうか。
ただし、これはあくまで目安であって、たとえばTOEIC730点をとっても英検2級に受からない人もいますし、730点以下でも英検1級に受かる人もいます。
結局のところ英語力もさることながら、問題の傾向をいかに掴めているかが重要になりますので、複数の試験・資格を受けようとお考えなら、しっかりと各試験の対策をしておく必要があります。
TOEICスコア730点の割合
続いては、TOEIC受験者のうちどのくらいの人が730点をとっているのか、その割合についてお話します。
TOEICの運営元である国際ビジネスコミュニケーション協会によると、受験者は2017年4月~2018年3月に961,440人と報告しています。
出典:TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2018
総受験者数961,440人のうち、730点以上(厳密には745点とする)は64,303人で全体の19.6%。意外に多いことが分かります。
これを見る限り、730点は簡単そうに思えますが、全くそんなことはありません。効率や集中力などから人によって大きく異なるでしょうが、基本的には730点取得までにかなりの勉強時間を必要とします。
出典:A Teacher’s Guide to TOEIC® Listening and Reading Test Preparing Your Students for Success
上表はオックスフォード大学がTOEICを受験する生徒の講師に向けた指南書に記載のデータです。
現在のTOEICスコアが250点であれば750点までに1,150時間、現在のTOEICスコアが550点であれば750点までに450時間の勉強が必要であると考えられています。
東大生のTOEICスコアは?
総受験者の19.6%もの人が730点以上を取得していると分かったところで、次は日本で最も学力が要する大学として知られる「東京大学」の学生がどのくらいのスコアを取得しているのかみていきましょう。
上図は東京大学が学生(卒業時)を対象に実施した調査で、回答が得られた2,427人のうちのTOEICを受験した約45.9%(約1,110人)のデータです。
730点以上のスコア保持者は全体の83.9%。一般を含む総受験者において730点以上なのは19.6%なので、83.9%というのは驚異的ですね。
東大生クラスにもなると、730点というのは通過点でもなく、取得して当たり前と言えるレベルなのでしょう。
TOEIC730点の社会的な活用状況
730点というスコアは、TOEICで上級者の入口として認知されているレベルになりますが、実は社会においてもこの730点が一つの指標になっています。
入学試験でTOEICスコア730点以上を持つ受験者に対して、英語試験の免除する大学があったり、730点以上を大学入試の出願要件の一部に定めている大学もあります。
また、730点以上を採用要件とする企業や、昇格の際に730点以上を求める企業が増えてきています。
大学(入学)の活用例
大学の入試においては、TOEIC730点が主に「英語試験免除」と「出願要件の一部」の2つに活用されています。
それぞれどの大学で活用されているについては、下表をご覧ください。(下表参照:TOEIC Tests 入学試験・単位認定における活用状況)
TOEIC730点を英語試験免除とする大学
秋田大学 |
国際資源学部 |
全学科 |
一般入試 |
明海大学 |
ホスピタリティ・ツーリズム学部 |
ホスピタリティ・ツーリズム学科 |
一般入試 |
外国語学部 |
英米語/中国語/日本語学科 |
一般入試 |
|
経済学部 |
経済学科 |
一般入試 |
|
不動産学部 |
不動産学科 |
一般入試 |
|
創価大学 |
全学部 |
全学科 |
一般入試/その他 |
関西大学 |
経済学部 |
全学科 |
AO入試 |
摂南大学 |
全学科 |
全学科 |
センター利用入試 |
外国語学部/経営学部/経済学部/法学部 |
全学科 |
公募制推薦入試 |
TOEIC730点を英語試験免除とする主な大学は、秋田大学、明海大学、創価大学、関西大学、摂南大学になります。
たとえば秋田大学であれば、国際資源学部の一般入試を受ける際、TOEIC730点を持っていると入試での英語の試験が免除されるということです。
TOEIC730点を出願要件の一部とする大学
青山学院大学 |
国際政治経済学部 |
全学科 |
その他 |
文学部 |
英米文学科 |
自己推薦入試 |
|
法学部 |
法学科 |
その他 |
|
神田外語大学 |
外国語学部 |
国際コミュニケーション学科 |
編入試験 |
千葉大学 |
薬学部 |
薬学学科 |
その他 |
信州大学 |
経法学部 |
全学科 |
公募制推薦入試 |
立命館大学 |
国際関係学部 |
国際関係学科 |
AO入試独自方式 |
関西大学 |
商学部 |
全学科 |
AO入試 |
TOEIC730点を出願要件の一部とする主な大学は、千葉大学、神田外語大学、青山学院大学、信州大学、立命館大学、関西大学です。
たとえば青山学院大学の文学部・英米文学科に自己推薦入試で受験するなら、TOEIC730点が一つの出願要件になるわけです。
なお、要求されるTOEICのスコアや各大学の活用例は、年度によって変わる可能性がありますので、表に記載の大学の学部・学科への入学を予定している人は、各大学のHPで最新情報を調べておきましょう。
企業(就職・転職)の活用例
仕事においては一般的に、英語を武器にできる最低ラインがTOEIC730点付近だと言われています。
上図は国際ビジネスコミュニケーション協会が国内の上場企業228社(英語使用企業)を対象に調査した、各企業が業務の遂行に必要だと感じるTOEICスコアの結果です。
英語使用企業228社のうち、全社員では平均600点、国際部門においては平均750点を期待スコアとして挙げています。
言い換えれば、これは就職・転職時の採用要件とも捉えることができ、730点あれば採用において有利に働きます。
また、海外赴任や海外駐在員の選抜においても、730点付近がラインになりますので、英語を使用できる仕事に就きたいという場合、730点が一つの目安になるでしょう。
TOEICスコア730点を目指す勉強法
このように、TOEICスコア730点というのは、あらゆるシーンにおいて一つのラインに置かれていることから、多くの人が730点を目標に勉強していることでしょう。
ただし、730点はそう簡単に取得できるものではありません。一般的にTOEICで+100点とるためには200〜300時間かかると言われています。
時間は有限ですし、多くの人が忙しい中で勉強していると思いますので、いかに効率的に勉強するかがポイントになるのではないでしょうか。
そこで当項では、730点を目指すための効率的な勉強法についてご紹介します。
得意・不得意別における勉強時間の比重を決定する
まずは、TOEICの本番に向けて何を重点的に勉強するのかを決めなければなりません。
基本的にはリーディングとリスニングは相関関係にありますので、同じ比重で勉強していくのが効率的ですが、人によっては得意・不得意があると思います。
730点というと、各350点付近になるわけですが、このあたりにまでなるとスコアUPはなかなかに難しく、得意な分野を伸ばすよりも不得意な分野を克服するのが近道です。
リスニングとリーディングの各スコアが50点以上離れているなら、高い方を得意分野、低い方を不得意分野と考えて、3:7くらいの比重で勉強時間を割くのがおすすめです。
3つのパターン
- リスニング/リーディングの得点が僅差の場合、同じ比重で勉強する(L5:R5)
- リスニングが得意な場合、リーディングに重点を置く(L3:R7)
- リーディングが得意な場合、リスニングに重点を置く(L7:R3)
なお、リーディングは長文読解のことを指します。単語と文法はすべてのパートに不可欠ですので、必ず多くの時間を割いて勉強するようにしましょう。
TOEIC730点を目指すための「単語」の勉強
単語の勉強には2通りあります。1つは単語帳を利用して覚える方法、もう1つはリスニングやリーディングを勉強しながら覚える方法です。
どちらも勉強法としては定番ですが、たとえば単語帳を利用して覚える時に眠たくなってしまう人は、単語帳の利用が合っていません。この場合、惰性になって結局のところ覚えることができず非効率になってしまいます。
単語帳を利用すると眠たくなってしまう、単語帳で覚えるのが苦手という場合には、リスニングやリーディングを勉強しながら覚える方法を取り入れるとよいでしょう。
ただし、単語帳は持ち運びに便利で通学・通勤時間などに有効活用できますので、1冊は持っておくようにしましょう。
→暗記が苦手な人必見!TOEICの単語を効率的に覚えるための勉強法!
おすすめの単語帳はコレ!
TOEIC730点レベルの単語帳にはさまざまなものがありますが、個人的には「TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ」がおすすめです。
本書に掲載されている単語はTOEICの本番に頻出するものばかりです。また、本書ではフレーズが多数収録されていて、同じく本番に頻出します。
頻出単語を収録する単語帳は数多く存在しますが、頻出フレーズまで収録しているのは本書くらいかもしれません。
単語だけよりもフレーズの中から単語を覚える方が効率的ですし、フレーズ自体が本番で頻出するので、どの単語帳が良いかと問われれば、私は本書を推します。
TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ)
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TOEIC730点を目指すための「文法」の勉強
文法においては効率的な勉強法がなく、結局のところ地道に覚えていくしかありません。ただし、TOEICの本番(特にPart5とPart6)でイジワルな文法問題はほとんど出ないので、基礎的な文法だけを覚えれば基本的には問題ありません。
基礎的な文法とは、単語・熟語、品詞、前置詞、代名詞、比較級、副詞、接続詞などです。Part5・Part6のどちらも単語・熟語がよく問われるので、単語・熟語はしっかりと覚えておきましょう。
おすすめの文法参考書はコレ!
個人的におすすめなのが、「総合英語Forest 7th Edition」と「TOEIC L&Rテスト 文法問題 でる1000問」の2冊です。
本書には655ページにのぼる膨大な量に、文法が網羅的に収録されています。本書だけあれば文法をマスターできるといっても過言ではありません。
TOEICに特化しているわけではありませんし、説明が小難しい点は否めませんが、1冊持っておくだけで半永久的に利用できます。
TOEIC730点を目指す人はもちろんのこと、今後に英検の勉強や日常的に英語を使う予定があるなら、持っておいて損はありません。
本書はTOEICのPart5に特化した参考書で、計1049問が模試形式で収録されています。収録されている問題はどれも本番さながらのクオリティーで、すべて解いて復習すればPart5で満点をとるのも夢ではありません。
また、本書で文法を習得すればPart6やPart7にも活きてきますし、Part5でスムーズに問題を解けるようになると、Part6とPart7に多くの時間を割くことができ、結果的にリーディングセクション全体のスコアアップに繋がります。
本書には多くの問題が収録されていますが、問題を解くだけで終わらせてしまうと勉強にならないので、必ず復習するようにしましょう。
TOEIC730点を目指すための「リスニング」の勉強
リスニングセクションでスコアを伸ばすためには、とにかく英語の音声に慣れることが大切です。英語の音声に慣れれば、たとえ単語や熟語が分からなくても、前後の文から内容がつかめるようになります。
音声に慣れるために欠かせないのが「毎日」英語の音声を聴くということです。定着するまでは間隔をあけてしまうと鈍ってしまう可能性があるので、短時間でも毎日聴くようにしましょう。
日常的に利用するものは何でも構いません。
「英会話リスニング」や「EnglishUpgrader」、「スタディサプリ」などのアプリを利用するのもよいでしょう。
また、ニュースを取り扱う「VOA」や会話形式の音声が動画付きで収録されている「Ello」、講演の内容を配信している「TED」などのサイトを利用するのもおすすめです。
とにかく毎日続けることが大切なので、自分に合うもの(好きなもの)を利用すると良いかと思います。
TOEICのリスニングに最適な勉強法
勉強法としては、「ディクテーション」と「シャドーイング」がおすすめです。
ディクテーションは流れる音声を聴いて書き留める勉強法、シャドーイングは音声で流れてくる英語を追うように声に出す勉強法のことです。
これら2つの勉強法を取り入れることで集中して勉強できますし、文単位で聴き取れるようになります。
また、TOEICの本番で役に立つテクニックもいくつかあります。詳しくは以下のページで詳しく解説していますので、ぜひ併せてお読みください。
→これで満点がとれる⁉495点保持者がおすすめするTOEICリスニングの練習法!
おすすめのリスニング参考書はコレ!
リスニングセクションの問題が収録されている参考書の中では、非公式のものよりもTOEICの運営元が発行する公式本がおすすめです。
本書はTOEICの運営元であるETSが出版している問題集で、本番さながらのクオリティーの問題がリスニング200問・リーディング200問(テスト2回分)収録されています。(現在までシリーズ3冊発行)
リーディングの勉強にも最適なので、本書は必ず手にしておくようにしましょう。
なお、問題を解くだけでは終わらせないようにしてください。誤答したところをしっかりと理解できるようになるまで復習するのはもちろん、すべての問題の音声を理解できるまで何度も聴くようにしましょう。
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本書の全てのシリーズを持っていて気晴らしや力試しでリスニングの問題を解きたいという場合、お金に余裕がないという場合は、サイトを利用してみましょう。
TOEIC730点を目指すための「リーディング」の勉強
リーディングにおいても慣れることが大切です。特にPart7では難しい単語が出てきますが、単語が分からなくても前後で内容を理解することができます。それを出来るようになるために、多読して文章に慣れる必要があるわけです。
多読に利用できるものとして、上で紹介した「VOA」や「TED」などのスクリプトがついたサイトもありますし、「The Japan Times(和訳付き)」や「The Mainichi」などのニュースサイトもあります。英字新聞を購買するのも良いでしょう。
多読しながら単語を覚えるというのも良いのですが、ニュースなどで多読する場合には難しい単語が多く出てきますので、すべてを覚える必要はありません。
それよりも多読に時間を割いて、単語が分からなくても理解できるよう読解力を鍛える、読解のスピードを上げることが重要です。730点あたりなら、単語は参考書に出てくるものだけで問題ありません。
おすすめのリーディング参考書はコレ!
リーディングの参考書で最もおすすめなのが、リスニングの項でご紹介した「公式TOEIC Listening & Reading問題集」です。これを何度も繰り返し解いて復習するだけで十分です。
ただし、本書だけでは物足りないという場合には、他の参考書として「TOEIC(R)テスト 新形式精選模試 リーディング」を利用するのがおすすめです。
本書には、非公式の参考書になりますが、非公式のものとしてはクオリティーが高く、さらにリーディングのみ計500問も収録されています。
解説も丁寧に書かれているので、リーディングの勉強にかなり役立ちます。初心者から上級者まで対応していますが、特に730点あたりの勉強に最も適している印象です。
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TOEICスコア730点のまとめ
TOEICスコア730点は、すでに大学や企業で一つの要件として活用されています。
グローバル化に伴って、今後は間違いなくTOEICの活用例は増えていくでしょうし、一つの区切りである730点は必須スコアになるかもしれません。
大学や就職だけでなく、今後さまざまなシーンで活躍できるように、730点の取得を目指して日々勉強に取り組みましょう!努力は必ず実を結びます!