【副業で農業】農地の確保から販売まで、抑えておくべき知識まとめ

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作物の質を追求すれば非常に奥が深いですが、農業は片手間でもできることから近年では副業で農業をする人が増えてきています。

また、週に1回程度の世話でも育つ作物を選べば、平日に本業をして週末に副業で農業をすることも可能で、これは「週末農業」と言われ、注目を集めています。

農業は年単位で考える必要があるので、すぐに収入を得ることはできませんが、一度軌道に乗れば片手間で安定した収入が得られるほか、定年後の仕事にも困りません。

当記事では、副業で農業をするメリット・デメリット、農地の選定、片手間で育つ作物の種類、販売先などについて詳しくご説明します。

副業で農業をするメリット

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副業で農業する最も大きなメリットが気軽に始められるということです。

特別な資格は必要なく、用意するのは作物の種や作業道具、農地の確保くらいで、費用もあまりかからないので、思い立ったらすぐ始められます。

また、心身ともに健康になれるというのも大きなメリットと言えるでしょう。

気軽に始められる

農業は資格を必要とせず、作物の種類によっては週に1回程度の作業で育てることができるので、気軽に始められて気楽に続けていくことができます。

また、作物の育て方を学べる農業体験も各地で実施されているので、作物の育て方が全く分からない方でも安心して始められます。

家庭菜園でも作物を育てることができますが、副業にするならある程度大きな規模の農地で育てたいもの。最近では農地のレンタルを提供しているところもありますし、費用もあまりかかりません。

自然の中でリフレッシュできる

人の多い環境で仕事をしたり、長時間パソコンを使ったりすると、心身ともに疲れてしまいますよね。それに東京では満員電車に片道1時間揺られながら通勤するなんて普通のことで、仕事で多大なストレスがかかってしまいます。

農業は基本的に自然豊かな環境で行うものなので、本業のストレスの解消にも役立ちしますし、趣味としての楽しみや、収穫の時などには充実感も味合うことができます。

健康的な体が手に入る

歳を重ねていくと、どんどん運動しなくなっていくもの。ストレスで暴飲暴食すると、あっという間に太っていきます。それに筋肉も落ちる一方です。

副業で農業をする場合、農機の導入には至らない規模がほとんどで、体を動かしながら作業をしていくことになるので、運動不足の解消にうってつけです。

また、早稲田大学の教授が行った調査(2017年)では、自営農業者の寿命が農業以外に従事している人に比べて長く、男性では8.2歳、女性では1.6歳長いという結果が出ました。

なぜ寿命が長いのかについては調査されていませんが、おそらくストレスフリーの環境で適度に体を動かし続けることが、健康的な体作りに大きな影響を与えているのでしょう。

食などに対する知識・関心が深まる

作物の中には簡単に育てられるものが多くありますが、そんな作物でも追及すれば非常に奥が深く、質を突き詰めれば終着点はありません。

また、農業を始めた頃は、作物の成長に大きな喜びを感じたり、収穫の際には大きな達成感が味わえますが、続けていくと質を求めてもっともっと知識を深めたくなっていきます。

それにスーパーで旬に野菜を見分けらたり、どのように調理したら美味しいのかなど食に対する関心も深まっていくほか、食のありがたみも感じるようになります。

食のありがたみに関しては、先進国である日本に住んでいる限り、なかなか気づけるものではありません。食に関する仕事や農業に従事するからこそ気づけるものです。

家族内の良好な関係を築ける

ご家族がいれば、ご家族で一緒に農業を営むのは非常におすすめです。

作物を育てるという同じ目的を持つと話が弾みますし、作物の成長過程や収穫時に嬉しさや達成感を共有でき、自ずと関係が良くなっていきます。

お子様が小さい頃には、一つのアクティビティとして楽しく取り組めるはずです。

副業で農業するデメリット

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このように多くのメリットがある一方で、少なからずデメリットも存在します。

デメリットに挙げられるのは、休日が少なくなる、場合によっては収入が少なくなる、この2つです。特に収入面においては深く考えなければなりません。

定期的に作物の世話をする必要がある

作物は放置していても育たず、場合によっては病気になってしまうこともあるので、定期的にしっかりと世話をする必要が出てきます。

本業がある中、世話をするのはなかなか大変なもの。休みも少なくなってしまうので、軽い気持ちで始めると、長く続けていくのは難しいかもしれません。

とはいえ、毎日世話する必要はなく、作物の種類によっては週に1回程度で構いません。

ベランダなどでプランターを使用して育てる場合、土の量が少なくすぐに乾燥してしまうことから、ほぼ毎日の水やりが必要です。

しかし、畑であれば雨によって自然と土に水が浸りますし、作物は自分で土の奥から水を引っ張ってくるので、ある程度は自力で育ってくれます。

何を育てるかで世話の頻度が大きく変わってくるので、手間をかけたくないという場合には、簡単に育つ作物を選ぶのが良いでしょう。

小規模ではお小遣い程度にしかならない

規模が小さい場合には、お小遣い程度にしかならず、販売先がなければ収入はありません。

特に農業を始めた頃は規模が小さいので収入も少なく、規模が大きくなるほど収入も増えていきますが、そうなるまでにはかなりの時間がかかってしまいます。

また、規模が大きくなると農機の購入や燃料代、肥料代など、費用も相当かかるので、そう簡単に安定して大きな収入を得ることはできません。

農業ですぐに安定した収入を得たいという場合には、自分で作物を育てるのではなく、農家でアルバイトをするのが得策です。

自分の土地以外で農業を始める方法

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すでに農地を持っている場合や、自宅の敷地内であれば、特に問題なく農業を始められますが、都会に住んでいる方のほとんどが農業をできる場所がなく、農地も所有していないでしょう。

そういった場合に便利なのが、他人の農地をレンタルする「貸農園」です。近年では副業で農業をする人が増えていることから、貸農園を提供する人も増えてきています。

貸農園でレンタルする

貸農園は「市民農園」とも言われていて、各都道府県の農村計画課や農村振興課に問い合わせると、開設している貸農園の場所や月額、面積、空き状況などを教えてくれます。

月額は1口/16.5㎡あたり月10,000円のように、貸農園が定める面積によって決定され、場所によって面積も月額もかなり幅があります。

レンタルする面積が増えるほど月額も高くなっていくので、収益を得る目的で農業をする場合には、安いところを探す必要があります。

ただし、安いところは都市部から離れていることが多いので、なかなか好立地かつ格安の貸農園を探すのが難しいのが実情です。

副業として農業に従事する場合には遠方でも安いところを、まずはエンタメ感覚で気軽に始めるなら少し高くても近くの貸農園が良いでしょう。

自治体の農地バンクを活用する

農地バンクとは、農地を貸したい人と借りたい人の間に入って、農地の貸し借りを行うための制度です。各都道府県の農地中間管理機構に問い合わせると詳しく教えてくれます。

公的機関を通して農地を借りるのは、基本的に貸農園よりも遥かに費用が安く、面積が広いので、本腰を入れて兼業する場合、就農する場合におすすめです。

しかし、農地を借りる場合には、栽培する作物の種類や必要な耕地面積といった農業の経営計画を立てなければいけません。また、自治体との協議・合意が必要になります。

その上、農機なども必要になってくる可能性が高く、数百万程度の準備資金を用意しなければならない場合もあります。

なので、まずは貸農園から始めて、本腰を入れて兼業または本業にする場合に農地バンクの活用を検討しましょう。

片手間でも育つ!副業におすすめの作物

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自宅の敷地内で農業をする場合には毎日世話をすることができますが、農地を借りるとなるとそこまで行く必要があり、本業の傍らでなかなか毎日の世話というのは大変なもの。

副業で農業をしている人の多くが本業の休みの日に作業をする「週末農業」を行っていますが、そういった人たちは片手間で育てられる作物を選んでいます。

 

種まき時期

収穫時期

トマト

1月~2月

6〜8月

ナス

1月~2月

5〜8月

じゃがいも

2月〜3月

8~9月

6月~7月

12月

小松菜

3月~10月

4月~11月

(種まきから1か月後)

さつまいも

5月〜6月

9月~11月

ニンジン

7月~8月

10月~3月

ニンニク

9月~10月

5月~6月

片手間で育てられる作物は割と多いのですが、中でも個人的におすすめなのがトマト、ナス、じゃがいも、小松菜、さつまいも、ニンジン、ニンニク。いずれも食卓で並ぶことが多く需要の高い野菜です。

自分で食べる用にも最適ですが、販売先が見つけやすく、売れやすい傾向にあるので、特に最初の作物としておすすめです。

作物の販売方法

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どこで作物を育てるか何を育てるかを決めて、作物が上手く育ったとしても、それで終わりではありません。

趣味で農業をするならそれだけでも良いかもしれませんが、副業ということで、ほとんどの方が収入を得ることを目的にしていると思います。

実はこの収入を得るというのが最も難しく、たくさんの作物が育ったとしても販売先がなければ、収入を得ることができないので、早い段階で販売先を見つける必要があります。

JA(農協)・市場

販売先としてハードルが低いのはJA(農協)や市場への出荷です。基本的には相手が提示した作物であれば買い取ってくれます。

初めは販売先を見つけるのが大変なので、JAや市場への出荷を検討してみるのが良いかと思いますが、手数料が高いことが大きなネックになります。

JAでは販売手数料のほかにも段ボール代などもかかってきて、これがなかなかに高く、手取り分はかなり少なくなってしまいます。

その一方で提示された作物なら全量買取してくれるので、初めの販売先としては最適と言えるでしょう。

道の駅・直売所

道の駅や直売所では、JAや市場に直接出荷するよりも販売手数料が安く、割と出荷者不足で歓迎してくれるところが多くあります。

また、少量からでも良いところも多く、販売する作物の値段は自分で決められます。

ちなみにこちらでは値札やラベルなどは出荷者が作成するのが一般的です。

魅力的なラベルを作れるのであれば、多少値段が高くても売れていきますので、道の駅や直売所に出荷する場合には、ラベルの作り方を学んでおきましょう。

インターネット販売

ECショップを立ち上げたり、既存の通販サービスを利用して販売するのも一つの手です。

顧客を獲得するのはかなり難しく、ハードルは跳び抜けて高くなりますが、軌道に乗れば安定して大きな収入を得ることができるようになります。

近年ではインターネットの普及によって、インターネット販売を行う専業農家が増えてきていますが、片手間で育てた作物が専業農家のそれに及ぶはずはありません。

なので、インターネット販売を行う際には、何かしらの決定的なアプローチが必要になってきます。

こういった戦略を考えるのも楽しいですが、現実はそう甘くないということは認識しておきましょう。

農業を副業でする上で抑えておくべき知識まとめ

農業は片手間でもできることが多いために、副業としては良い選択です。しかし、作物にも人間と同じように病気にかかることもあるので、片手間といってもしっかりと世話をする必要がでてきます。

また、収入を得るのは難しく、農業を始めて数年はお小遣い程度にしかならないということを肝に銘じておきましょう。安定して大きな収入を得るためには、相応の努力と時間が必要になります。

とはいえ、農業をすることで心身ともに健康になれるほか、場合によっては家族みんなのアクティビティとして楽しんで続けている可能性もあります。

始めなければ何も分かりませんし、初期費用は少なく済みますので、まずは貸農園をレンタルするなどして始めてみましょう。

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