司馬遼太郎の定番&おすすめ小説10選!ここから歴史を紐解こう!

司馬遼太郎おすすめ小説

時代・歴史小説を読むのなら「とりあえずこれを!」となるほど、「司馬遼太郎」はメジャーな存在となって久しい作家です。

その安定感と歴史観は読書において最高級の経験となり、活字ならではの良さを教えてくれることでしょう。

今回はそんな司馬遼太郎先生の定番&おすすめ小説を10選ご紹介し、改めてその魅力に迫ってみたいと思います。

決して読者を選ぶ小説ばかりではないので、この機に気楽に読み進めてみましょう。

司馬遼太郎のおすすめ小説10選!

燃えよ剣

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

司馬遼太郎の代表作である「燃えよ剣」は、作者に興味を持ったのなら読まないわけにはいかない作品となるでしょう。

新選組の副長「土方歳三」を中心に添えたこの物語には、息をのむような迫力と力強さが満ち満ちています。

こんな生き方が許されるのかと感じながらも、少しずつその姿に魅了されていく自分に気づき、そのうち新選組がなぜ今も人気を博しているのかがわかってくるでしょう。

現代小説では書ききれないそのパワフルな要素は、まさに歴史に残る歴史小説となると思います。

荒々しさが魅力であると同時に、その派手で奔放な描写が人を選ぶ小説となっていますが、土方歳三のカッコよさは誰にでも感じられるでしょう。

土方歳三の目で見る日本の姿や、彼を取り巻く人たちの生き様を、司馬遼太郎の文章で楽しんでみることをおすすめします。

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

関ケ原

関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)

天下分け目の大決戦を題材とした小説や映画は多数ありますが、司馬遼太郎の「関ケ原」には他にない独自の魅力が備わっています。

たった1日で終わった戦がどのように組み立てられたものなのか、その舞台裏をのぞくような内容です。

徳川家康や島左近、そして石田三成といった有名人物たちの集いは、戦国版スマブラ、もしくはアベンジャーズといえるでしょうか。

三成のキャラクターがとても良い感じなので、その言動を見ているだけでも楽しめるかもしれません。

同時に家康の黒さが際立っているのも魅力で、「知っている人物を敵側から見る」ことの面白さを感じさせてくれます。

関ケ原の結末を知っているからこそ楽しめる部分もあるため、歴史好きも司馬遼太郎版の読書はおすすめですね。

関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)

関ヶ原〈上〉 (新潮文庫)

坂の上の雲

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

明治を舞台に兄弟である秋山好古と真之、そして正岡子規の生き方を書いた傑作「坂の上の雲」は、司馬遼太郎の定番作品であり代表作です。

後の日本に深く関わる軍人である秋山兄弟と、俳句と短歌によって近代文学を牽引した正岡子規の3人を基軸に書かれる日本の変貌模様は、非常にドラマティックでありながらどことなく身近な感覚を読者に与えてくれます。

近代ならではの色々な要素が入り乱れていく過程には、本当にこころが引き込まれることでしょう。

ただ歴史になった事実を書くのではなく、いい塩梅で着色がなされているので、仮にこの時代の空気に興味がなくても楽しめると思われます。

司馬遼太郎の解説と共に振り返る日本の明治時代は、ただ単純に歴史を知る以上の価値があるでしょう。

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

新装版 坂の上の雲 (1) (文春文庫)

竜馬がゆく

新装版 竜馬がゆく (1) (文春文庫)

私は特別坂本龍馬が好きというわけではありませんが、それでも「竜馬がゆく」は本当に司馬遼太郎の最高傑作なのだと実感できます。

キャラクターとして完成された坂本龍馬が動き回る本小説は、随所に勢いだけではない確かな熟成度をにおわせてくるようです。

坂本龍馬についてふわっとしたイメージしかない人にも、竜馬がゆくが歴史観に対する基礎を作ってくれるでしょう。

既に色々なドラマや映画に登場している坂本龍馬という人物の司馬遼太郎バージョンを、名作小説から観察してみることをおすすめします。

全8巻という大作ゆえに読みはじめることにやや気後れするかもしれませんが、じっくりと坂本龍馬の人生を、そして近代に向かっていく日本の歴史を紐解いている小説にしてはむしろこの冊数はコンパクトに収められている方だといえるでしょう。

このサイズの小説だったからこそ書きあげられたポイントもたくさんあるので、ぜひこの機に本腰を入れての読書を楽しんでみてください。

新装版 竜馬がゆく (1) (文春文庫)

新装版 竜馬がゆく (1) (文春文庫)

胡蝶の夢

胡蝶の夢(一) (新潮文庫)

社会や体制に翻弄される人々、そのなかで新しい可能性に生きる松本良順と島倉伊之助の物語を書いた「胡蝶の夢」は、司馬遼太郎作品のなかでも隠れた(?)名作となっています。

蘭学を軸にその時代のルールを捉え、そして変革していく様子はとても痛快なレベル。

武士だけが戦っていたのではないことを、知識を武器に生きる人たちの姿から学ぶことができるでしょう。

司馬遼太郎らしい時代解説が特に活きる作品だと思うので、小説としてはもちろんちょっとした学術書的な雰囲気も楽しめます。

登場人物や蘭学に関する知識がゼロでも問題ないため、「歴史小説=武士」といったイメージを変えるためにも胡蝶の夢の読書はおすすめです。

歴史の新しい読み方がわかるような、そんな良い経験を与えてくれる本となっていますよ。

胡蝶の夢(一) (新潮文庫)

胡蝶の夢(一) (新潮文庫)

峠(上) (新潮文庫)

戦国や明治とはまた違った雰囲気が特徴の幕末を描いた名作「峠」も、司馬遼太郎を知るのならおすすめの小説です。

越後長岡藩の藩士である河井継之助の視点や思考からものごとの原理を見出す面白さは、歴史小説ならではのものだといえるでしょう。

その人の生き方からそこにしかない価値が見つかる様子が、歴史を遡る楽しさを再認識させてくれます。

恥ずかしながら長岡藩も河井継之助もほとんど知らない状態で読みはじめた私ですが、描かれている場面のほとんどを新鮮に読み進めることができたので、逆に何も知らなくてよかったと思えました。

河井継之助の問題ある行動に慣れてくるとそれもまた魅力となり、最後にはしみじみとその生を惜しむことができます。

司馬遼太郎の書くキャラクターは本当に素晴らしいので、読後は河井継之助の人物像に愛着すら感じられるかもしれません。

幕末という雰囲気を楽しむためにも、ぜひ峠の読書はおすすめできます。

峠(上) (新潮文庫)

峠(上) (新潮文庫)

世に棲む日々

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

吉田松陰がどのような生き方をした人なのかを知るために読んだ「世に棲む日々」も、司馬遼太郎のおすすめ作品となりました。

幕末のなか、殺伐としはじめる国内の背景も魅力ですが、何よりも吉田松陰とそれを取り巻く人々との話が面白い。

何故歴史に残るだけの人物となったのかがわかるような内容で、読んだ後吉田松陰のファンになる人も多いのではないでしょうか。

そして世に棲む日々の物語を加速させるのが、高杉晋作であることも魅力です。

ここまでくるとカッコいいだけでなく、ある種の恐ろしさすら感じされるその行動力が、小説のなかの熱さを高めてくれます。

それでいて人間味に溢れる高杉の姿がページには散りばめられているので、彼についての見識を深めていくことが可能です。

吉田松陰と高杉晋作が生きたわずかな期間でどれだけ日本が変わったのかを、司馬遼太郎ワールドで体験してみましょう。

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

国盗り物語

国盗り物語(一) (新潮文庫)

戦国時代でもっとも有名な時期の1つ、織田信長を1つの中心に添えた「国盗り物語」も司馬遼太郎の定番小説なのではないでしょうか。

斎藤道三の革命からはじまり、やがて時代は織田信長に移り、そして最後は明智光秀によって討たれる。

当然のように知っているこの流れが、これほど濃厚に感じられたのはこの小説が初めてでした。

戦国の美しさや苛烈さがこれほど見事に表現されているのは、司馬遼太郎作品ならではのものでしょう。

それぞれの人物がどのようにつながり、そこからどういった考えを取得していったのかがわかると、歴史はただの情報ではなくなりますね。

改めて戦国時代という世界を知るためにも、国盗り物語の読書はぜひおすすめです。

国盗り物語(一) (新潮文庫)

国盗り物語(一) (新潮文庫)

菜の花の沖

菜の花の沖(一) (文春文庫)

その知識量と綿密な取材によって再現される舞台そのものが魅力的な「菜の花の沖」は、歴史の細部を知る良い資料にさえなる小説です。

主人公は商人として生きることになる高田屋嘉兵衛、彼が日本をどのように思い、成長していくのかが物語の焦点となっていますが、その奥に見える時代の怖さや魅力が物語を引き締めてくれます。

決して派手な描写が続く小説ではありませんが、逆境から見られる人間という存在の強さ、そして高田屋嘉兵衛という男の生き方には考えさせられることになるでしょう。

政治的な問題に巻き込まれていくことで、改めて個の人の力がわかるこの構成は、司馬遼太郎作品のなかでも特に評価されるべきものだと思います。

なかなかに忍耐力のいる小説ではあると思いますが、時間を見つけて読んでほしいおすすめの長編ですね。

菜の花の沖(一) (文春文庫)

菜の花の沖(一) (文春文庫)

歴史の中の日本

歴史の中の日本 (中公文庫)

その読みやすさと引き込まれるような文章も特徴である司馬遼太郎が、「エッセイを書いたらこうなる」という結果を示した本が「歴史の中の日本」です。

歴史とそこに登場する人物に対する考察が面白く、どうして色々な時代を自分色に染められるのかがわかる内容が魅力となっています。

さまざまな媒体で書かれた文章が雑多にまとめられているため、歴史の中の日本というタイトルには関係ないものもありますが、司馬遼太郎という作家を知るには最高の1冊になるでしょう。

ファンが読むだけでなく、「ファンになるために読む本」でもあるので、小説作品と合わせてチェックしてみてください。

司馬遼太郎はこの他にも「この国のかたち」や「街道をゆく」などの名作を出していて、どれもユニークかつ真摯な作者の語りを読むことができます。

小説ではないからこそ楽しめる司馬遼太郎の面白さを、この機会にチェックしておきましょう。

歴史の中の日本 (中公文庫)

歴史の中の日本 (中公文庫)

司馬遼太郎はどう読むべき?

難しく読まない意識を

歴史小説=難しいというイメージは、それほど間違っているものではないといえます。

正確には「難しく読もうと思えば複雑に捉えられる」のが、歴史小説の特徴なのではないでしょうか。

登場人物の歴史的背景やその後の顛末、舞台となっている時代の常識や地理的な要素などを知ってから読めば、歴史小説の面白さはさらに高まります。

しかし当然ながらそこまでするのは大変なことで、よほど歴史が好きでなければ最後まで読むのが難しくなるでしょう。

そんな風に難しく読めてしまうからこそ、最初の頃は意識して「小説の中身を簡略化する」ことをおすすめします。

例えばよくわからない部分や興味のない話はさらっと読み飛ばしたり、アニメや映画の映像を頭のなかにお借りしたりすれば、歴史小説はかなり読みやすくなるでしょう。

無理して読んで挫折してしまうくらいなら、どんどん自分なりに簡単にしていくことがおすすめです。

少しずつ慣れてきたら資料やネットを調べながら、深く難しく読むことに挑戦してみるのもいいでしょう。

司馬遼太郎作品は読みやすさはもちろん、知識と面白さの宝庫でもあるので、深読みは楽しい読書を実現してくれますよ。

キャラクターを読む面白さ

司馬遼太郎の小説に登場する人物は、基本的に実在した人間たちです。

しかしそれと同時に、そこにしかいないキャラクターでもあることが、読んでいくとわかるでしょう。

いわゆる「キャラ付け」がされていたり、人物像がわかりやすくデフォルメされていたりするので、生きる時代が違う読者にも非常に親しみやすい存在となっています。

このキャラクターを読む面白さこそ、司馬遼太郎をおすすめする大きな理由となっているのです。

例え歴史にまったく興味がない人でも、司馬遼太郎の書くキャラクターには夢中になれることが多いのではないでしょうか。

生き様や考え方に感銘を受けたり、その行動に驚いたりできる小説は、ジャンルに関係なく名作となります。

そのため司馬遼太郎の本は、誰にでも推薦できるグローバルなものとなりえるのです。

歴史小説だからと緊張する必要はないため、まずは純粋に登場キャラクターの魅力を追いかけてみましょう。

そしてそこで得たキャラクターとしてのイメージを、ぜひ別の小説や映画に持ち込んでみてください。

ギャップや共通点を見つけるという新しい楽しみ方が、歴史をさらに面白くさせてくれますよ。

ご本人登場の魅力

司馬遼太郎の小説は、たびたび話が横道に逸れていくことでも有名です。

「余談だが」「話は逸れるが」といった決まり文句で作者の語りがはじまるのは恒例で、物語の途中であろうとお構いなく話は脱線していきます。

けれどこの司馬遼太郎本人が登場して解説してくれているような文章は非常にユニークで、魔法のようについつい引き込まれてしまうでしょう。

無駄話ではなくしっかりとしたウンチクや別のストーリーにつながっていくため、この余談が小説全体の濃度を高めてくれるのです。

他の小説にはあまり見られない手法なので最初は戸惑うかもしれませんが、1度その面白さを知ると余談がないことが物足りなくなることもあるかもしれません。

司馬遼太郎作品を読むときはぜひこの余談を気にしながら、プラスされていく文章を楽しんでいきましょう。

「またか……」と思えた瞬間こそが、実は司馬遼太郎のトリックにハマっているときなのです。

むしろどんどん刺し込まれてくる余談を楽しみに感じられるようになることが、司馬遼太郎を読むときのポイントになるでしょう。

まとめ

司馬遼太郎のおすすめ作品を10作にしぼりこむのは、かなり大変で時間のかかることとなりました。

それくらい作者の本は、どれもこれも面白いものばかりです。

長編小説が多いのでそれなりのパワーは必要ですが、読後にはそれに見合った感動が待っています。

ぜひこの機に司馬遼太郎という小説のかたちを、楽しく読み進めてみましょう。

この記事を書いた人

syunkin999